公開日: 最終更新日:

山形県戸沢村、鉄道トンネルとの“接触寸前”工事!新東西軸トンネル掘削に挑む技術的対策とは?

道路
業界ニュース
  1. TOP
  2. 公共交通業界コラム
  3. 業界ニュース
  4. 山形県戸沢村、鉄道トンネルとの“接触寸前”工事!新東西軸トンネル掘削に挑む技術的対策とは?

工事の背景と挑戦

2024年11月、国土交通省東北地方整備局山形河川国道事務所は、山形県戸沢村で進行中の国道47号高屋道路のトンネル工事が極めて難航していることを明らかにしました。この工事では、JR陸羽西線の第2高屋トンネルと僅か約3メートルの距離で交差する計画が立てられています。

この特殊な状況のため、列車運行の安全を確保する目的で2022年5月から陸羽西線全線(新庄~余目・酒田間)が運休となり、代行バス輸送が実施されています。当初、2024年度中に完了する予定だった代行バス運行期間は、工事の進捗遅延により2025年度まで延長される見込みです。

鉄道近接工事での技術的課題と対策

今回の工事で最も注目されるのは、鉄道トンネルと極めて近い距離で掘削が行われるという点です。約3メートルの間隔しかない近接区間では、掘削作業中の振動や地盤変動が鉄道トンネルに及ぼす影響を最小限に抑える必要があります。

以下のような技術的対策が実施されています:

  • 地山補強:掘削に先立ち、地盤に鋼材やセメントを注入することで、地盤を強化し崩落を防止。
  • 掘削速度の制御:掘削速度を通常よりも低く抑えることで、振動の発生を抑制。
  • リアルタイムモニタリング:地盤やトンネル周辺の動きを常時監視するセンサーを設置し、異常が検知された際には即座に作業を中断。
  • 振動対策工法:低振動の掘削機を使用し、振動の影響を鉄道トンネルに伝えないよう工夫。

これらの対策により、工事現場と鉄道トンネルの双方の安全性を確保しつつ、工事を慎重に進めています。

地域への影響と未来への期待

工事の遅延によって、陸羽西線の運休と代行バスの運行期間延長は地域住民や観光業に大きな影響を及ぼしています。特に通勤・通学利用者や観光客にとって、不便を強いられる状況が続いています。しかし、このトンネル工事が完成すれば、山形県新庄市と酒田市を結ぶ新たな東西軸が形成され、物流の効率化や観光業の発展が期待されます。

国土交通省とJR東日本は、利用者や地域住民への影響を最小限に抑えるため、引き続き工事の効率化と安全確保に注力する方針です。また、進捗状況や今後の見通しについても適時情報提供を行うとしています。

まとめ

  • 国道47号高屋道路トンネル工事は、鉄道トンネルと近接交差する箇所で掘削が難航し、代行バス運行期間が2025年度まで延長。
  • 地山補強、掘削速度の制御、リアルタイムモニタリングなどの高度な安全対策が採用されている。
  • 完成後は地域の物流や観光振興に寄与することが期待されている。

参考

関連記事

PR支援に関する
お問い合わせ

お気軽にお問い合わせください