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新千歳空港・旭川空港でSAF(持続可能な航空燃料)のサプライチェーン構築に向けた実証実験を開始!

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背景に迫る!なぜSAF(持続可能な航空燃料)導入が必要なのか?

航空業界は現在、温室効果ガス削減の圧力を受け、大きな変革を迎えています。化石燃料に代わる持続可能な代替燃料(SAF)は、その象徴的な取り組みの一つです。SAFは、廃油、バイオマス、廃棄物などを原料に製造され、既存の航空機やインフラで使用可能な燃料です。その最大の利点は、ライフサイクル全体でCO₂排出量を60~80%削減できる点にあります。

しかし、SAFの導入には課題も伴います。現在の航空燃料と比較して生産コストが高いこと、国内の生産能力が限られていること、そして供給インフラが整備されていないことが大きな障壁です。これらの問題を解決するため、日本政府は2030年までに航空燃料の10%をSAFに置き換える目標を掲げています。

その一環として、2024年12月、北海道の新千歳空港と旭川空港で実証実験が開始されました。この実証は、地方空港におけるSAFの供給体制を確立し、全国展開に向けた課題を明確化することを目的としています。

技術的課題とシステム構成を解説!SAF(持続可能な航空燃料)供給の舞台裏

実証事業を担うENEOSは、苫小牧埠頭を拠点に、SAFの輸送と供給を行います。SAFはまず苫小牧で製造され、専用タンクローリーで新千歳空港と旭川空港に輸送されます。その後、既存の燃料供給インフラを活用し、航空機へ給油されます。

このプロセスの中で特に重要なのが、品質管理と安全性の確保です。SAFは従来の航空燃料(Jet-A1)と混合して使用されるため、適切な比率を維持する必要があります。また、SAFの品質は国際基準に基づいて厳しく管理され、供給過程での汚染を防ぐための対策が講じられています。

さらに、地方空港ならではの課題として、需要変動への対応やコスト競争力の確保があります。地方空港では航空機の発着回数が都市部と比べて少ないため、SAF供給の採算性をどう確保するかが大きな課題です。この実証では、柔軟な輸送スケジュールや、燃料供給の効率化を図ることで、コスト削減に挑戦しています。

未来へのステップ!SAF(持続可能な航空燃料)全国展開に向けた課題と展望とは?

北海道での実証事業は、地方空港におけるSAF供給体制を構築する重要なモデルケースとなります。しかし、全国的な展開には多くの課題が残されています。まず、国内のSAF生産能力の拡大が急務です。現在、日本国内でのSAF生産量は需要を大きく下回っており、国内外のパートナーシップを活用した生産体制の強化が必要です。

また、コスト削減も不可欠です。SAFは従来の航空燃料と比較して最大5倍のコストがかかるとされており、政府による補助金や税制優遇措置などの経済的支援が求められます。さらに、全国の空港に供給インフラを整備するためには、多額の投資と長期的な計画が必要です。

しかし、これらの課題を乗り越えることで、SAFは航空業界の脱炭素化を加速し、国際的な競争力を高める鍵となります。地方空港での取り組みは、地域活性化や雇用創出にもつながり、社会全体にポジティブな影響をもたらすことが期待されています。

まとめ

  • 航空業界の脱炭素化に向け、持続可能な航空燃料(SAF)の導入が急務となっている。
  • 2024年12月、北海道の新千歳空港と旭川空港でSAF供給の実証事業が開始された。
  • ENEOSが中心となり、ANA、JAL、AIRDOの3社にSAFを供給している。
  • SAFの全国展開には、生産体制やコスト、インフラ整備などの課題解決が必要である。
  • 地方空港での実証事業は、全国的なSAFサプライチェーン構築の基盤となる。

参考

関連記事 SAF(持続可能な航空燃料)とは

 

 

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