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出光興産は次世代電池「全固体電池」の実用化を見据え、大型パイロット装置の基本設計に着手したと発表

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2027年実用化に向けた大型パイロット装置の設計を開始

2024年10月、出光興産は次世代電池「全固体電池」の実用化を見据え、大型パイロット装置の基本設計に着手したと発表しました。トヨタが2027年に発売予定の新型電気自動車(BEV)にこの電池が搭載される見通しです。従来のリチウムイオン電池と異なり、全固体電池は充電時間の短縮、エネルギー密度の向上、さらには航続距離の伸長といった特長を持ち、環境負荷の低減にも寄与することが期待されています。

従来の電池は液体の電解質を使用していますが、全固体電池では固体電解質が導入されており、トヨタと出光の協業によって耐久性と高出力性能の両立が目指されています。これにより、次世代BEVの走行距離は最大2倍に伸び、充電時間はわずか10分程度に短縮できる可能性があります。

出光とトヨタの協力で全固体電池が新たなステージへ

全固体電池の開発には、充放電の際に電池が膨張・収縮しやすく、そのために性能が劣化する課題がありました。しかし、出光は独自の硫化物系固体電解質を開発することでこの問題を解決し、トヨタの電極材技術と組み合わせたことで、耐久性と高性能を兼ね備えた電池の量産化に道を開きました。出光の技術により、柔軟で割れにくい材料が実現し、特に水分耐性と高いイオン伝導性を確保しています。

トヨタと出光の技術協力の深化によって、全固体電池の標準化も進められており、日本発の技術として世界市場をリードすることが期待されています。両社は電池分野のパートナーシップを通じて、「実現力」を高め、新たな製品価値を市場に提供することを目指しています。

次世代電池として期待される「硫化物系固体電解質」の特性とメリット

硫化物系固体電解質の特徴として、電池内部でのイオン移動が速くなることで充電効率が向上し、従来よりも短い充電時間で電池が満充電に達することが可能となります。加えて、硫黄成分が石油精製の副産物であるため、出光が培ってきた石油技術を応用し、製造コストの低減が期待できます。これにより、全固体電池はEV市場での普及を促進し、環境に優しい電動車の選択肢を増やす重要な役割を果たすでしょう。

また、エネルギー密度が高いことで、車両デザインの自由度も高まり、トヨタの高性能な電気自動車開発にも貢献すると見られます。将来的には航空機や産業機械への適用も検討されており、全固体電池は幅広い産業での応用が期待されます。

まとめ

  • 出光興産が全固体電池の実用化に向け、大型パイロット装置の設計を開始(2024年10月発表)。
  • トヨタの新型電気自動車に2027年以降に搭載予定で、充電時間短縮や航続距離向上が期待される。
  • 出光の硫化物系固体電解質が耐久性と高出力性能を実現し、世界標準の電池技術を目指す。
  • エネルギー密度の向上でEVの設計自由度が高まり、次世代電動車市場での競争力が強化される。

参考:トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

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