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Apple、世界中の航空会社とエアタグの位置情報共有で連携!航空手荷物紛失問題の解決へ
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航空業界における手荷物紛失問題と技術的課題とは?
航空業界では、手荷物の紛失や遅延が長年の課題となっています。国際航空運送協会(IATA)の報告によれば、2022年には全世界で約2500万個の手荷物が遅延、紛失、または誤送されました。この問題は、乗客の不満を招くだけでなく、航空会社にとっても多大なコスト負担となっています。
従来の手荷物追跡システムは、バーコードやRFIDタグを使用していましたが、リアルタイムでの位置情報取得や、乗客自身が手荷物の状況を確認することは困難でした。また、複数の航空会社や空港間での情報共有の難しさも、手荷物管理の効率化を妨げる要因となっていました。
アップルの新機能「Share Item Location」の導入とシステム構成
2024年11月、アップルはiOS 18.2のパブリックベータ版において、新機能「Share Item Location」を発表しました。この機能により、ユーザーはAirTagや「探す」ネットワーク対応アクセサリの位置情報を、航空会社などの第三者と安全かつ簡単に共有できるようになります。
具体的には、ユーザーはiPhone、iPad、またはMacの「探す」アプリで共有リンクを生成し、そのリンクを航空会社に提供します。受信者は、インタラクティブなマップ上で手荷物の位置情報を確認でき、位置情報は自動的に更新され、最終更新日時も表示されます。このリンクは7日後に自動的に期限切れとなり、ユーザーが手荷物を取り戻した際や任意のタイミングで共有を停止することも可能です。
プライバシー保護の観点から、共有される位置情報はエンドツーエンドで暗号化されており、Appleやアクセサリの製造元を含め、他の誰もデバイスの位置や情報を表示できません。また、リンクへのアクセスは少人数に限定され、受信者はAppleアカウントやパートナーのメールアドレスで認証する必要があります。
航空会社との連携と今後の展望
アップルは、エアリンガス、エア・カナダ、ニュージーランド航空、オーストリア航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、ブリュッセル航空、デルタ航空、ユーロウィングス、イベリア航空、KLMオランダ航空、ルフトハンザ、カンタス航空、シンガポール航空、スイスインターナショナルエアラインズ、ターキッシュエアラインズ、ユナイテッド航空、ヴァージンアトランティック航空、ブエリング航空など、15以上の航空会社と提携し、手荷物の位置情報共有を開始します。これにより、手荷物の紛失や遅延時に、航空会社のカスタマーサービスが迅速かつ的確に対応できるようになります。
さらに、航空輸送テクノロジーのリーダーであるSITAは、500以上の航空会社と世界中の2800以上の空港の地上職員が使用している手荷物追跡システム「WorldTracer」に、Share Item Locationのサポートを組み込む予定です。これにより、業界全体での手荷物管理の効率化と、乗客へのサービス向上が期待されます。
今後、さらに多くの航空会社がこのシステムに参加することで、手荷物紛失問題の解決に向けた取り組みが加速すると考えられます。また、ユーザー自身が手荷物の位置情報をリアルタイムで確認できることで、安心感が高まり、旅行体験の質の向上にも寄与するでしょう。
まとめ
- 手荷物の紛失や遅延は、航空業界における長年の課題であり、従来の追跡システムではリアルタイムでの位置情報取得が困難でした。
- 2024年11月、アップルはiOS 18.2のパブリックベータ版で「Share Item Location」機能を導入し、ユーザーがAirTagの位置情報を航空会社と共有できるようになりました。
- この機能は、エンドツーエンドの暗号化やアクセス制限により、プライバシーを保護しながら手荷物の位置情報共有を実現しています。
- エアリンガス、エア・カナダ、ブリティッシュ・エアウェイズなど、15以上の航空会社がこのシステムに参加し、手荷物管理の効率化とサービス向上を目指しています。
- 今後、さらに多くの航空会社が参加することで、手荷物紛失問題の解決に向けた取り組みが進展し、旅行者の安心感と満足度の向上が期待されます。
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