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ホンダ、全固体電池のパイロットラインを2024年11月に初公開!EVの量産化を目指す
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全固体電池とは?ホンダが目指す次世代EVバッテリーの革新
2024年11月21日、ホンダは栃木県さくら市の本田技術研究所において、全固体電池のパイロットラインを初公開しました。この技術は、従来の液体リチウムイオン電池に代わる次世代バッテリーとして、世界中の自動車メーカーや研究機関から注目されています。
全固体電池の最大の特徴は、その名の通り、電解質が液体ではなく固体で構成されている点にあります。これにより、エネルギー密度を大幅に向上させるとともに、火災や爆発のリスクを抑えた高い安全性を実現します。また、動作温度範囲が広く、寒冷地や高温地域でも効率的に動作する特性を持ちます。
ホンダは、この技術を2040年までにすべての車両ラインアップで電動化を達成するという長期目標の一環として位置付けています。特に、航続距離の延長や充電速度の向上といった従来のEV技術の課題を解決することで、電動モビリティの可能性を広げると期待されています。
パイロットラインの詳細:生産工程の再現と徹底的な検証
ホンダが公開したパイロットラインは、全固体電池の量産を見据えた技術検証のための施設であり、一連の生産工程をすべて再現可能な最新鋭の設備を導入しています。この施設では、原材料の秤量や混練、電極の形成、セルの組み立て、化成プロセス、モジュールの組み立てまで、全ての工程が行えます。
具体的には、電極界面の密着性を高めるためにロールプレス方式を採用し、高密度で均一な電極を製造しています。また、固体電解質と電極の相性を最適化するための試験や、量産を想定した製造プロセスの効率化にも重点を置いています。
2024年春に建設が完了したこの施設では、2025年1月から本格稼働を開始し、年間数千セル規模の生産が可能となる予定です。この生産規模は、量産の前段階として十分なデータ収集を行うために設定されています。
全固体電池の技術的課題とホンダのアプローチ
全固体電池は大きな可能性を秘めていますが、実用化にはいくつかの技術的課題が残されています。最大の課題は、固体電解質と電極界面の密着性をどのように高めるかという点です。固体は液体のように流動しないため、界面での抵抗が高くなることが問題となります。
ホンダは、ロールプレス方式による高精度な成型技術を用いることで、電極と固体電解質の接触面積を増やし、抵抗を低減することに成功しています。また、電極材料の改良や新しい固体電解質の開発も進めています。
さらに、全固体電池は従来のリチウムイオン電池と異なり、高温での動作に適していますが、低温環境での性能が課題となっています。ホンダは、低温でも高いイオン伝導性を発揮する新材料の採用や、温度管理システムの改善によって、この課題を克服しようとしています。
全固体電池の導入背景と今後の展望
ホンダが全固体電池の開発を進める背景には、持続可能なモビリティ社会を実現するというビジョンがあります。特に、2040年までにグローバルでの新車販売をすべて電動車に切り替えるという目標を掲げており、その鍵を握るのが全固体電池技術です。
全固体電池は、エネルギー密度の向上により、EVの航続距離を従来の2倍以上に拡大する可能性があります。また、急速充電性能の向上により、充電時間を数十分程度に短縮することが可能となります。これにより、電動車の実用性が大幅に向上し、ガソリン車に代わる主力として普及する道筋が見えてきます。
今後、ホンダは2020年代後半に全固体電池の量産を開始し、この技術を搭載したEVモデルを順次市場に投入する予定です。また、開発で得た技術は、他分野の蓄電デバイスにも応用される可能性があり、ホンダの技術力がさらに広がりを見せると期待されています。
まとめ
- 2024年11月21日、ホンダが栃木県さくら市で全固体電池のパイロットラインを初公開。
- 全固体電池は、液体電解質を固体化することで安全性とエネルギー密度を向上。
- パイロットラインでは、原材料の秤量からモジュールの組み立てまで一連の工程を再現可能。
- 技術的課題として、界面密着性や低温性能の改善に取り組む。
- 2040年までに電動車100%達成を目指し、全固体電池の量産を2020年代後半に開始予定。
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