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日本郵船、CO2を排出しないアンモニア燃料供給船が基本設計承認!海運業界の脱炭素化を加速
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日本郵船、アンモニア燃料供給船の基本設計承認を取得!海運業界の未来を切り拓く
2025年2月25日、日本郵船株式会社(本店:東京都千代田区、社長:曽我貴也)は、シンガポールのSeatrium Limited(シートリウム社)をはじめとするパートナー企業とのコンソーシアムと共同で設計したアンモニア燃料供給船の基本設計承認(AiP)を一般社団法人日本海事協会(ClassNK)から取得したと発表しました。
このアンモニア燃料供給船は、環境に優しく持続可能な海運業界の実現を目指し、船舶燃料としてのアンモニアの実用化と効果的なアンモニアバリューチェーンの構築を目的としています。
アンモニア燃料供給船の技術的特徴と課題解決への取り組み
アンモニア燃料供給船の開発には、従来の燃料供給船とは異なる技術的課題が存在します。日本郵船とそのパートナー企業は、以下の技術的特徴と課題解決に取り組んでいます。
1. アンモニア燃料エンジンの採用
本船には、株式会社IHI原動機が開発したアンモニア燃料エンジンが搭載されています。このエンジンは、温室効果ガスの排出を大幅に削減でき、2024年8月に就航した世界初の商業用アンモニア燃料タグボート「魁」にも採用されています。
アンモニアは炭素を含まないため、燃焼時にCO2を排出しないという大きな利点があります。しかし、従来の船舶用エンジンと異なり、燃焼効率や排出ガスの管理には特別な設計が必要です。特に、アンモニアは燃焼時にNOx(窒素酸化物)を生成する可能性があるため、排ガス処理技術の導入が不可欠です。
日本郵船のアンモニア燃料エンジンには、以下の技術が採用されています:
- 燃焼時の最適な空燃比を実現する制御システム
- NOxの排出を抑制するSCR(選択的触媒還元)装置
- 高圧噴射技術を活用した効率的な燃料供給システム
2. バンカリングブームの導入
TBグローバルテクノロジーズ株式会社が開発したバンカリングブームが本船に組み込まれています。この装置には緊急離脱装置(Emergency Release System)が搭載されており、緊急時にはアンモニア燃料船と供給船の接続を瞬時に切り離すことが可能です。
バンカリングプロセスは、アンモニアの取り扱いにおいて最もリスクの高い作業の一つです。特に、燃料供給時の漏洩防止策が重要であり、日本郵船のシステムには以下の技術が搭載されています:
- 二重密封バルブを用いた燃料供給ライン
- 燃料漏洩をリアルタイムで監視するガス検知システム
- 遠隔操作可能な自動遮断バルブ
3. 安全性と環境基準の遵守
本船の設計は、ClassNKの安全性、技術、環境の各基準に適合しており、船舶燃料としてのアンモニア実用化に向けた大きな一歩となっています。
シンガポールでの導入と今後の展望
本船はシンガポールでの就航を見据えて設計されており、シンガポール海事港湾庁(Maritime and Port Authority of Singapore)から導入検討のための評価を受ける予定です。実現すれば、世界初のアンモニア燃料供給船となり、シンガポールにおける脱炭素化への取り組みに大きく貢献すると期待されています。
まとめ:世界初!CO2を排出しないアンモニア燃料供給船が基本設計承認!日本郵船、海運業界の脱炭素化を加速
- 2025年2月25日、日本郵船とパートナー企業が共同設計したアンモニア燃料供給船がClassNKから基本設計承認(AiP)を取得。
- 本船には、IHI原動機のアンモニア燃料エンジンやTBグローバルテクノロジーズのバンカリングブームなど、最新の技術が搭載されている。
- 二重密封バルブや緊急遮断システムを搭載し、安全な燃料供給を実現。
- シンガポールでの就航を目指し、脱炭素化への取り組みと海運業界の持続可能性向上に大きく寄与することが期待されている。
参考文献
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