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IHI、航空エンジンの運転試験でSAF利用を開始 – 脱炭素社会への貢献

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IHIが、航空エンジンの出荷前運転試験において、持続可能な航空燃料(SAF)の使用を開始しました。この革新的な取り組みは、航空産業の脱炭素化に向けた大きな一歩であり、実用化に向けた重要なデータ蓄積を目的としています。東京都の支援も受け、バイオ燃料などの活用を拡大し、持続可能な未来への貢献を目指します。

航空エンジンの試験に持続可能な燃料「SAF」を導入

株式会社IHIは、東京都が推進する脱炭素燃料普及拡大支援事業と連携し、航空エンジンの出荷前に行う運転試験で、持続可能な航空燃料(SAF)の使用を開始しました。これにより、航空機のライフサイクル全体における二酸化炭素排出量の削減に貢献します。この取り組みは、バイオ燃料などの活用を拡大し、将来的にはSAFの安定的なサプライチェーンを構築するための重要なステップとなります。実用段階でのデータを収集・分析することで、今後の脱炭素技術の研究開発を加速させることが期待されます。

バイオマス由来のSAFはどのように航空エンジンで機能するのか?

持続可能な航空燃料(SAF)は、従来の化石燃料とは異なり、使用済み食用油や藻類、農林廃棄物などのバイオマスを原料として製造されます。これらの原料から精製されたSAFは、化学的にケロシンとほぼ同じ分子構造を持つように調整されるため、既存の航空エンジンや燃料供給インフラを大幅に変更することなく使用できるのが大きな特徴です。航空エンジンの運転試験でSAFを使用することは、燃料の燃焼特性、エンジンの性能、耐久性に対する影響を詳細に評価する上で不可欠です。今回のIHIの取り組みは、実際のエンジンでSAFの適合性を検証し、その性能データを蓄積することで、安全性と信頼性を確立する重要な役割を果たします。

航空エンジンの未来を拓く!技術革新とデータ収集の重要性

今回のIHIによるSAFの導入は、単なる燃料の変更にとどまらず、航空産業の未来を担う重要な技術的マイルストーンです。航空エンジンメーカーにとって、新しい燃料が既存のエンジン設計に与える影響を正確に把握することは極めて重要です。特に、燃料噴射ノズル、燃焼器、タービンブレードなど、高温高圧に晒される部品への影響は綿密な評価が必要です。今回の試験を通じて収集されるデータは、将来の次世代エンジンの設計や、既存エンジンの改修における貴重な知見となります。これにより、航空機の運航における温室効果ガス排出量を大幅に削減するだけでなく、エンジンの効率向上やメンテナンスコスト削減にもつながる可能性を秘めています。

脱炭素化の加速と新たなビジネス機会の創出

IHIのSAF利用開始は、航空産業における脱炭素化の流れを加速させる画期的な取り組みです。これにより、国際的な環境規制への対応が強化されるだけでなく、SAFのサプライチェーン全体に新たなビジネス機会が創出されます。燃料供給事業者から、エンジンメーカー、航空会社に至るまで、業界全体が連携することで、持続可能な社会の実現に向けたエコシステムが構築されるでしょう。今回の東京都との連携は、官民一体となった取り組みの好例であり、他の産業への波及効果も期待されます。この一歩が、よりクリーンで持続可能な航空産業の未来を築くための礎となるはずです。

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