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日野自動車、国内初の量産型燃料電池大型トラックを発表

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日野自動車が、カーボンニュートラル社会の実現に向けた新たな一歩を踏み出しました。国内初の量産型燃料電池大型トラック「日野プロフィア Z FCV」の発表は、物流業界の未来を大きく変える可能性を秘めています。今回は、この画期的な発表について、その技術的背景から市場への影響、そして今後の展望までを詳しく掘り下げていきます。

日野自動車、トヨタと協業で国内初の量産型FCV大型トラックを開発

日野自動車は、トヨタ自動車との協業のもと、国内初の量産型燃料電池大型トラック「日野プロフィア Z FCV」を発表しました。このトラックは、環境負荷の低減と実用性の両立を目指し、物流業界の脱炭素化を加速させることを目的としています。航続距離は約650kmを確保し、既存のディーゼルトラックに匹敵する利便性を目指しています。まずは水素ステーションが整備された地域から、リース形式での販売が開始される予定で、実際の運用データやフィードバックを元に、さらに開発を進めていく計画です。

水素燃料電池技術が拓く、物流の新たな地平

「日野プロフィア Z FCV」の核心をなすのは、トヨタが長年培ってきた燃料電池技術です。従来の電気自動車(EV)がバッテリーに蓄えた電力でモーターを駆動するのに対し、燃料電池車(FCV)は、高圧水素タンクに貯蔵された水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を生成し、その電力でモーターを動かします。このプロセスで排出されるのは水のみであり、走行時にCO2を一切排出しないゼロエミッションを実現しています。

大型トラックのFCV化には、乗用車とは異なる課題があります。トラックは長距離を走行するため、航続距離の確保が重要です。今回の「日野プロフィア Z FCV」では、トヨタのFCVシステムを最適化し、複数の高圧水素タンクを効率的に配置することで、約650kmという実用的な航続距離を達成しました。また、ディーゼルトラックに比べて航続距離あたりの燃料充填時間が短い点も、物流の効率を維持する上で大きなメリットとなります。

物流の脱炭素化を加速させる技術的イノベーション

今回の発表は、単なる新製品のローンチ以上の意味を持ちます。それは、物流業界における脱炭素化への具体的な道筋を示すものです。現在の物流を支える大型トラックは、CO2排出量が多いディーゼルエンジンが主流です。これをゼロエミッションのFCVトラックに置き換えることは、気候変動対策に大きく貢献します。

しかし、FCVの普及には課題も残されています。最も重要なのが、水素ステーションというインフラの整備です。現状では、全国的に水素ステーションはまだ数が少なく、特に地方における整備が急務となっています。日野自動車はリース販売という形式を取ることで、まずはインフラが整った地域から段階的に導入を進め、市場を形成していく戦略です。これにより、FCVトラックの普及と水素インフラの整備が互いに加速し合う好循環を生み出すことが期待されます。

ゼロエミッション物流への確かな一歩

「日野プロフィア Z FCV」の発表は、日本の自動車産業がカーボンニュートラル社会に向けて、着実に前進していることを示す重要なマイルストーンです。トヨタの優れた燃料電池技術と、日野自動車の長年にわたる大型トラック開発のノウハウが融合したこの車両は、環境性能と実用性を高いレベルで両立させています。物流の脱炭素化は、もはや待ったなしの課題であり、今回の発表は、その解決に向けた具体的なソリューションを提示しました。今後、このトラックが日本の物流現場でどのように活躍していくか、その動向に注目が集まります。

参考文献: https://www.hino.co.jp/corp/news/2025/20250917-003984.html

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