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ヤンマーとソニーが水中センシング技術の新会社を設立、海洋保全と脱炭素化を推進

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ヤンマーホールディングスとソニーグループという、異色の組み合わせが水中センシング技術の分野で協業を開始します。両社は合弁会社「Yanmar & Sony Marine Solutions」を設立し、海洋環境保全と効率的な船舶メンテナンスの実現を目指します。その第一歩として、船舶の船底に付着する海洋生物を自動で除去する技術の開発に着手しました。この取り組みは、海洋環境の課題解決に新たな道を開くものとして注目されています。

ヤンマーとソニーが水中ドローンで船舶の維持管理を革新

ヤンマーとソニーは、水中センシング技術を社会実装するための合弁会社「Yanmar & Sony Marine Solutions」を設立しました。この新会社は、船舶の船底に付着する海洋生物を、自律航行する水中ドローン(ROV)で除去する技術の開発に乗り出します。この技術により、船舶の燃費改善と二酸化炭素排出量の削減に貢献するほか、外来種の拡散防止による海洋生態系の保全にも繋がると期待されています。

水中ドローンが拓く海洋メンテナンスの未来

今回、ヤンマーとソニーが開発に着手する技術の中核をなすのが、水中ドローン(ROV)による自動船底洗浄技術です。船舶の船底にフジツボや藻類などの海洋生物が付着すると、摩擦抵抗が増大し、燃費の悪化を招きます。従来の船底洗浄は、専門のダイバーによる手作業が主流であり、時間とコストがかかる上、作業者の安全確保も課題でした。この新技術では、ソニーが培ってきたAIを活用した水中センシング技術で生物の付着状況を正確に解析し、ヤンマーの技術が組み込まれた水中ドローンが自律的に洗浄を行います。これにより、メンテナンスの効率化はもちろん、船舶の運航データを元にした最適な洗浄タイミングの提案など、より高度なサービスへの展開も期待されます。

水中センシングとAIが切り拓く新たな技術領域

このプロジェクトは、単なる船舶メンテナンスの効率化にとどまらず、技術的な観点からも非常に興味深いものです。ソニーが持つ水中センシング技術は、これまで培ってきたイメージング技術やセンサー技術を応用したものです。水中は光の減衰が早く、視界が悪いという特殊な環境ですが、それを克服する独自の技術が用いられています。さらに、AIが船底の映像データから生物の付着度合いを識別・解析することで、最適な洗浄ルートを自律的に判断します。こうしたハードウェアとソフトウェアの融合は、今後の水中作業ロボットや海洋調査、さらには漁業における技術革新にも繋がる可能性を秘めています。

脱炭素化と海洋環境保全への貢献、そして新市場の創出へ

ヤンマーとソニーの協業は、単なるビジネス上の提携を超え、複数の社会課題の解決に貢献する可能性を秘めています。船舶の燃費改善は、燃料消費を抑え、CO2排出量を削減する脱炭素化の取り組みに直結します。また、船舶のバラスト水や船底に付着した生物が、異なる海域に持ち込まれることで生態系を破壊する「外来種問題」も深刻です。この技術は、その拡散を効果的に防ぐことができます。このように、環境保全という喫緊の課題に対し、先進的な技術でアプローチすることで、新たな市場を創造する動きとして、今後の展開が注目されます。

参考文献: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000341.000034384.html

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