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光ファイバー式警報トロリ線とは?電車線の摩耗を自動検知する新技術を紹介!
株式会社MR.Nexus
※この記事に掲載している画像は、Mobility Nexusが内容理解を目的として独自に生成したイメージであり、実際の製品仕様とは異なる可能性があります。
鉄道の安全運行を支える電車線(トロリ線)は、パンタグラフとの摩擦によって徐々に摩耗します。これまで、摩耗限界に達したトロリ線は計画的に更新されていましたが、突発的な断線リスクへの対応には課題がありました。こうした中、日立金属とJR東海が共同開発した「光ファイバー式警報トロリ線」は、トロリ線に組み込んだ光ファイバーによって断線を即時検知し、迅速な対応を可能とする次世代技術です。
開発の背景 ─ 高速鉄道における安全性と保守性の両立
東海道新幹線では、毎時285kmという高速走行によってトロリ線の摩耗が早く進行します。これまでも定期的な点検や更新によって対応してきましたが、突発的な断線やアーク事故のリスクを最小化する新たな仕組みが求められていました。
この要請に応える形で開発されたのが、「光ファイバー式警報トロリ線」です。内部に光ファイバーを埋め込むことで、摩耗限界に達した際に光ファイバーが切断され、リアルタイムでの断線検知・警報出力が可能となります。
仕組みと技術的特長
- 光ファイバー内蔵構造: トロリ線内部に光ファイバーを敷設。摩耗が進行し、限界厚に達するとファイバーが断線。
- 即時検知・通知: 光信号が断たれることで、監視装置が即座に位置特定と警報を出力。
- 常時監視: 光ファイバーを通じた信号監視により、24時間体制でトロリ線の状態把握が可能。
- 高ノイズ耐性: メタル線と異なり、強電磁界環境下でも安定した信号検知が可能。
導入によるメリット
- 突発的な断線リスクの最小化
- 保守・点検の効率化(目視・測定頻度の低減)
- 車両遅延や運行停止リスクの低減
- 遠隔からの即時通知により、迅速な現場対応が可能
導入状況と今後の展望
この技術は既に東海道新幹線の一部区間に導入されており、今後は東京~新大阪間の全線への導入を2030年までに完了する計画です。日立金属では、さらに中央監視システムとの連携や、敷設性を高めた製品化にも取り組んでいます。
今後の普及に向けた課題と対応
- コスト構造の見直し: 光ファイバー付きトロリ線の単価が高く、量産効果と導入支援策が鍵
- 施工体制の整備: 高所作業や施工教育が必要で、導入時の人材・時間確保が必要
- 監視システムとの連携: 保守拠点とリアルタイムで連携可能な監視装置との組合せが前提
参考情報
まとめ ─ 光ファイバー技術が拓く次世代保守の可能性
- 「光ファイバー式警報トロリ線」は、摩耗による断線を即座に検知する新技術
- パンタグラフとの摩耗進行に対し、非接触でリアルタイム監視が可能
- 保守の効率化、安全性の向上、突発事故の未然防止に貢献
- 2030年までに東海道新幹線全区間で導入を目指す
- 他線区や在来線、高速鉄道以外への展開も期待される
今後はコスト低減や標準化、施工性向上が進めば、地方鉄道や海外高速鉄道への応用も期待されます。光ファイバーがもたらす鉄道保守の進化に、今後も注目が集まります。
会社名株式会社MR.Nexus
住所〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1丁目11番12号 日本橋水野ビル7階
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