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駅・空港の自動巡回ロボット 5選 | 導入チェックリスト、PoC評価項目例、導入プロセス解説付

株式会社MR.Nexus

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製品特性

               
安全対策
               
自動化
               
環境への配慮
               
保守性向上
               
信頼性向上
               
施工性向上

近年、駅や空港といった公共空間において、自動巡回ロボットの導入が加速しています。これらのロボットは、警備・案内・清掃などの業務を自律的に遂行し、人的リソースの補完や利用者の利便性向上、安全性の確保に貢献しています。特に人手不足が深刻化する中で、24時間体制での稼働や多言語対応など、従来の人員配置では実現が難しかった機能を補完する手段として注目されています。

本記事では、駅・空港向けに自動巡回ロボットを提供する主要メーカーを紹介し、それぞれの製品の特長や強みを一覧表形式で比較できるよう整理しています。担当者が「どのメーカーに問い合わせるべきか」を判断しやすいよう、簡潔で訴求力のある表現を心がけています。導入検討時に重視される要素「技術特性、業務適合性、サポート体制、導入実績など」を軸に、事業者にとって実務的な比較ができる内容としています。

自動巡回ロボットの活用は、単なる業務の効率化にとどまらず、利用者に対する新たな価値提供の手段でもあります。本記事が、自社の運用課題に合致したロボット導入の検討を進めるうえでの一助となれば幸いです。

駅・空港の自動巡回ロボット比較一覧表

メーカー名 国・地域 主な製品 ターゲット市場 技術の強み 採用事例 リンク
セコム株式会社
SECOM Co., Ltd.
日本(東京都渋谷区) cocobo 空港・駅・商業施設 レーザーセンサーによる自律走行、画像監視機能 関西国際空港 第2ターミナル・関西空港駅 SECOM cocobo
株式会社ugo
ugo Inc.
日本(東京都港区) ugo シリーズ 駅・空港・オフィスビル 遠隔操作と自律移動のハイブリッド、エレベーター連携 関西国際空港(実証実験) ugo
ボストン・ダイナミクス
Boston Dynamics
アメリカ(マサチューセッツ州) Spot 空港・産業施設・建設現場 四足歩行による高い機動性、3Dスキャン機能 アラスカ州フェアバンクス国際空港(野生動物対策) Boston Dynamics
綜合警備保障株式会社(ALSOK)
ALSOK Co., Ltd.
日本(東京都港区) Reborg-X 空港・駅・商業施設 警備業務に特化したUIと運用実績 羽田空港(実証実験) ALSOK
SEQSENSE株式会社
SEQSENSE Inc.
日本(東京都千代田区) SQ-2 空港・駅・高層ビル 全周囲3D LiDARと自動充電による長時間稼働 成田空港、東京都庁舎 SQ-2

まとめ

駅・空港における自動巡回ロボットの導入は、業務の効率化や人手不足対策、安全性の向上といった多角的なメリットをもたらします。本記事では、国内外の主要メーカー5社(セコム、ugo、ボストンダイナミクス、ALSOK、SEQSENSE)を対象に、それぞれの製品特性や採用事例、対象市場を比較しました。各社はロボットの自律移動技術、遠隔操作機能、警備業務への適合性、インフラとの連携能力などに強みを持ち、導入目的や施設規模に応じた選定が重要です。

たとえば、セコムの「cocobo」は、高い巡回能力と画像監視機能を備え、商業施設や空港のセキュリティ強化に向く製品です。ugoは遠隔操作とのハイブリッド運用が可能で、柔軟な運用体制を構築したい中小規模の施設におすすめです。ボストンダイナミクスの「Spot」は四足歩行の機動性を活かし、段差や不整地の多い施設・敷地外巡回が求められる現場に適しています。ALSOKの「Reborg-X」は警備業務への適合性と実績に優れ、駅構内での有人警備との連携を意識した運用に最適です。SEQSENSEの「SQ-2」は自動充電・全周囲LiDARによる連続稼働を特長とし、ビルや空港の広範なエリアを網羅する中長期運用に向いています。

導入を検討する際には、以下のような視点での比較が効果的です。

  • 技術特性(移動方式、センサーの種類、通信インフラとの親和性)
  • 業務適合性(警備、案内、清掃などの対象業務)
  • 導入実績と信頼性(他社の活用事例、保守体制)
  • 施設規模や構造(段差、通路幅、エレベーター連携の必要性)
  • UI・遠隔操作機能(現場職員による運用可否)

自動巡回ロボットは単なる警備支援装置ではなく、施設の安全・安心・効率を支える中核的なインフラの一部となりつつあります。大規模空港やターミナル駅のように広範囲かつ高密度な動線管理が必要な施設では、安定稼働とシステム連携性を重視すべきです。一方、複数拠点を持つ中小事業者や駅ビル管理会社にとっては、コストバランスや遠隔監視機能の柔軟性が重要視されるでしょう。

本記事で紹介した5社の技術は、それぞれ異なる運用ニーズに対応しており、「どの現場に、どのロボットを導入すべきか」という判断に直結する情報を整理しています。今後、自動巡回ロボットの社会的な受容がさらに進むなかで、現場の特性を理解した上での選定が導入成功の鍵となります。本比較が、導入検討の出発点としてお役立ていただければ幸いです。

導入前チェックリスト(駅・空港向け自動巡回ロボット)

このチェックリストは、駅構内や空港ターミナルなどの公共空間において、自動巡回ロボットを導入する際の技術的・運用的な事前確認項目です。設計部門・設備管理・警備統括・DX推進担当が連携し、「現場に定着する導入」を実現するための基準としてご活用ください。

① 構造・通信条件の確認(設備・インフラ適合性)

  • 巡回予定経路(コンコース・改札外・出発ロビー等)に階段や段差がなく、スロープ・エレベーターで代替可能な経路が確保されている
  • 通行エリアにおける幅員(通路幅・障害物回避スペース)がロボット仕様に合致している(例:幅1.2m以上)
  • Wi-Fi・LTE・ローカル5G等、ロボットが使用する通信方式に応じた安定した通信エリアが構内に整備されている
  • エレベーター、ゲート、ドア等の施設設備とAPIまたはI/O連携が可能か、仕様上の制約が明確になっている
  • 待機・充電スペース(1台あたり1㎡以上)を確保できる箇所がある(電源容量と設置許可含む)
  • ロボット走行中に影響を与える可能性のある照度変化(屋外光、夜間暗所、強い反射)や障害物(広告、構内設置物)への配慮が済んでいる

② 用途・業務フローとの整合性(運用・警備体制)

  • 対象業務(巡回警備/不審物監視/利用者案内/誘導支援)がロボットの機能と役割分担できるよう業務フローに落とし込まれている
  • ロボットの巡回スケジュール(曜日/時間帯/ルート)が、既存業務や混雑時間とバッティングせず、周囲動線との干渉リスクが検証済み
  • 遠隔操作や警備連携が必要な場合、人手によるモニタリング・判断・対応フロー(体制/マニュアル)が明文化されている
  • 利用者への認知や誤解防止のため、ロボット導入に関する周知・案内(サイネージ・掲示物・放送対応)の検討が行われている
  • 事故・トラブル時(通信断・障害検出・機体転倒など)の一次対応(通報先/代替巡回/復旧方法)が構内業務マニュアルに反映されている
  • 保守・点検のために、現場作業員が操作・確認可能な操作端末や運用権限の範囲が決まっている

③ 費用・保守体制の検討(投資判断と持続性)

  • 初期導入コスト(本体価格・構内整備・通信回線・インテグレーション費用)が事業予算内に収まる想定である
  • ランニングコスト(月額保守、定期点検、電力・通信費、監視人件費など)が3~5年単位で予算化されている
  • 導入元ベンダーまたは代理店が提供する保守メニュー(駆けつけ対応、定期整備、消耗品交換)の内容とSLAが明確である
  • 障害発生時の代替機貸与・交換体制や、故障対応時の稼働率への影響が可視化されている
  • 施設管理側で求められるライセンス費/オプション契約(追加センサー、案内音声、API連携)の内容が仕様書に明記されている
  • ベンダー側が対象エリアにおいて他社導入実績を持ち、施設規模・運用業態への理解がある

上記のチェック項目を満たしていれば、初期導入リスクを最小化し、ロボットが実際の施設運用に定着する可能性が高まります。また、事業者によっては、データ利活用やAIカメラ拡張など、将来的な高度化を見越した機種選定が望まれます。

本格導入に向けた試験運用(PoC)の評価項目と合格基準の例

この評価項目と合格基準の例は、自動巡回ロボットを本格導入する前段階として行う「PoC(Proof of Concept:概念実証)」において、技術的・運用的・人的観点からの導入可否を客観的に評価することを目的としています。単に動作確認を行うだけでなく、実環境での稼働特性と現場適合性を定量的に把握し、導入判断の材料とするためのツールです。

① 自律走行・ナビゲーション性能

  • 実験内容:構内1周の巡回ルート(例:500m)を指定時刻に自律走行させ、自己位置推定と障害物回避の精度を確認
  • 観測方法:1巡回あたりの停止回数/通行不能回避回数/逸脱時間を記録
  • 合格基準:停止・誤作動なく90%以上の精度でルートを完了、かつ1時間以内の自己復帰が可能であること

② 通信安定性・遠隔操作連携

  • 実験内容:構内の通信死角を含むエリアで遠隔操作・映像確認を実施
  • 観測方法:通信断の有無、遠隔操作ラグ(秒)、再接続までの平均時間
  • 合格基準:通信断が発生しても30秒以内に自動復帰/手動介入が可能であり、常時カメラ映像が5fps以上で表示されること

③ バッテリー持続・自動充電挙動

  • 実験内容:フル充電で連続巡回(または待機+巡回)を8時間以上行い、帰還・充電動作も確認
  • 観測方法:稼働時間/バッテリー残量推移/自動帰還成功率
  • 合格基準:業務時間帯(例:8:00〜17:00)を中断なく稼働、かつ80%以上の自動帰還成功率があること

④ 障害物/人との衝突回避挙動

  • 実験内容:不意の通行人や荷物カートを配置した環境で、ロボットの回避・停止挙動を観察
  • 観測方法:回避成功率/停止から再起動までの時間/衝突・接触回数
  • 合格基準:90%以上の回避成功、かつ誤接触0件であること。再起動が1分以内に完了

⑤ 利用者・現場職員の受容性

  • 実験内容:ロボット稼働時の一般利用者・職員へのアンケート実施(1日30名以上目標)
  • 観測方法:「邪魔に感じた」「怖かった」などの否定的回答率/職員による操作性評価
  • 合格基準:否定的回答が全体の20%未満、操作性に関する職員満足度が70%以上であること

⑥ 異常時の対応可否・エラー挙動

  • 実験内容:バッテリー切れ/通信断/進路妨害などを意図的に発生させ、ログ記録と復旧動作を検証
  • 観測方法:ログの取得可否/警告ランプや音声通知の有無/現場対応者による復旧成功率
  • 合格基準:全トラブルケースでエラー検知が正常に行われ、80%以上が手順通り復旧可能であること

評価項目リスト活用の前提となる考え方

  • ロボット導入は「設備導入」ではなく「運用設計」である:センサー・AIの性能だけでなく、施設側の通信環境、業務分担、人員体制、緊急時対応といった複合的な要素の調整が不可欠です。
  • 試験運用は「失敗を歓迎するプロセス」である:本格導入後に発生すると重大なトラブルになり得る課題を、先回りして洗い出すフェーズです。ロボットの「限界」も含めて把握することで、無理のない導入が可能になります。
  • 評価は「定性的印象」ではなく「定量的な基準」で行う:導入判断を感覚や雰囲気で行うのではなく、明文化された基準に基づいて、現場・管理者・ベンダーが合意できる構造を作ります。

評価項目リストの具体的な使い方(実務フロー)

① チェックリストを導入プロジェクト初期に共有
ベンダー側と施設管理部門・DX推進担当・警備業者等が、このリストを共有し、PoC期間・試験場所・対象項目を決定します。

② 各項目の実験を計画的に実施
実証期間中に、1日単位で項目ごとのテストをスケジュールに組み込み、データ取得・ログ記録・現場の映像などを収集します。

③ 実験結果をベンダーとともにレビュー
項目ごとの定量指標(例:回避成功率90%、バッテリー8時間)に基づき、達成状況と要改善点を整理します。現場職員からの主観的フィードバックも併せて収集します。

④ 本格導入可否の社内判断材料として使用
「どの項目がクリアされたか」「改善にどの程度の時間がかかるか」「運用側で対応可能か」を基に、正式契約・工事着手・体制構築に進むかを判断します。

特に重要な使い方のポイント

  • 社内稟議や上層部報告時に「導入判断の根拠」として使用可能
  • 複数ベンダーを比較する際に「横並びの評価項目」として活用
  • 技術部門だけでなく、運用部門・警備統括・情報システム部門も評価に参加
  • 改善項目をそのまま「仕様確定資料」や「保守契約条件」に転用できる

このリストを活用することで、試験導入が「やってみただけ」で終わらず、導入の妥当性と現場定着性を客観的に検証する枠組みが構築されます。PoCはあくまで「検証と設計の入口」であり、この段階での精度が、導入後の運用安定性とトラブル抑制に直結します。

導入ステップ(駅・空港におけるモデルケース)

自動巡回ロボットの導入は、単なる機器購入ではなく、「設備・業務・人員体制を一体で設計・実装するプロジェクト」です。以下に、公共空間(駅・空港)における標準的な導入ステップを示します。

STEP1:現場課題の整理と要件定義

  • 既存の警備・案内・清掃業務のうち、自動化・省人化が可能な業務領域を選定
  • ロボットに期待する役割(業務内容、時間帯、頻度、対応エリア)を明確化
  • 設備担当・施設管理者・警備事業者など関係部門を巻き込み、運用方針を統一

STEP2:メーカー比較と現地ヒアリング

  • 複数ベンダーから資料を取り寄せ、機能・費用・対応範囲を比較
  • 施設規模、通信環境、業務内容に適した技術構成を提案できるベンダーを選定
  • 現地見学・実証施設(例:他空港や駅)でのデモ確認を通じて操作性・実績を評価

STEP3:実証実験(PoC)の実施

  • 一部エリアで短期の試験導入を行い、巡回ルート・障害物回避・通信安定性を検証
  • 周囲の利用者の反応、既存業務との干渉、想定外の動作を記録し改善項目を抽出
  • 操作者・警備員・案内担当の教育訓練を並行実施し、実務に支障がないか確認

STEP4:本格導入に向けた仕様確定

  • 巡回スケジュール・導線・停留ポイントなどを施設設計図に反映
  • 通信インフラ・自動ドア連携・電源設備等の改修工事の内容を確定
  • 契約範囲(機体・保守・操作訓練・予備部品・拡張機能)を明文化し見積取得

STEP5:工事・セットアップ・教育

  • 構内設備(充電拠点、Wi-Fi増設、物理ガイド等)の工事を施工管理部門と調整
  • ロボットの初期マッピング、通信設定、導線設定などをベンダー立ち会いで実施
  • 現場スタッフへの操作研修・マニュアル配布・緊急時対応訓練を実施

STEP6:運用開始とフィードバック改善

  • 実運用を通じて巡回ログや映像データを蓄積・分析し、定常業務に最適化
  • トラブル発生時の連絡体制・対応履歴を記録し、故障時のSLA確認も行う
  • 年度ごとの運用レビュー(コスト対効果・満足度・拡張性)を実施

自動巡回ロボットの導入は、単に設備導入にとどまらず、施設オペレーション全体の再設計を伴います。上記のようなステップで計画的に進めることで、現場に定着しやすく、投資効果の高い導入が実現できます。

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