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工事作業指示書・WBS作成の基本

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作業指示書とWBSの役割とは何か

公共交通の現場では、限られた作業時間、限られた人数、厳しい安全要件の中で確実に業務を完了させる必要があります。その中で重要な役割を果たすのが「工事作業指示書」と「WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構造)」です。これらは単なる事務的な帳票ではなく、現場作業の円滑な遂行と、部門間の確実な意思疎通を支える実務ツールです。

作業指示書は、「この作業は誰が、いつ、どこで、何を、どのように行うのか」を明示する文書です。特に、複数の関係者が関わる大規模工事では、現場ごとに状況が異なるため、誤解や認識のズレを防ぐためにも、明文化された作業指示が不可欠です。一方、WBSは作業全体を細かい単位に分解し、作業の順序関係や依存関係を可視化することで、工事全体のスケジュール管理や進捗管理を可能にします。

工事に携わる技術者にとって、作業指示書とWBSを使いこなすことは、単に「上司に提出するため」ではなく、現場を安全かつ効率的に動かすための基盤づくりでもあります。例えば、WBSが適切に作成されていれば、必要な準備物や人員配置、安全対策などを前倒しで計画することができます。逆に、これらが不十分だと、当日に「どこから手をつけるか分からない」「部材が足りない」「関係者が誰か分からない」といった事態に直結します。

また、これらのツールは、現場担当者だけでなく、上位部門(保安・計画・契約)との接点でも重要です。例えば、契約部門とやりとりする際には、WBSをもとに工程ごとの単価計算を行ったり、作業ごとに必要な人員を算出することができます。つまり、現場視点とマネジメント視点の「共通言語」としての機能を持っているのです。

このように、作業指示書とWBSは、現場の混乱を防ぎ、関係者の理解を促し、全体最適な運営を支える重要な仕組みです。本記事では、この2つの基本的な位置づけから始め、設計・活用・改善までを段階的に解説していきます。初学者にとっても、現場での即戦力として身につける価値の高いスキルであり、ベテラン技術者にとっても業務標準化・教育ツールとしての応用が見込まれる内容です。

 

現場起点でのタスク分解思考とWBS設計

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振り返りワーク

本記事の内容を読んだあとに、自分自身の業務や職場環境に照らして振り返ってみることで、より深い学びにつながります。WBSや作業指示書は「使ってこそ意味がある」実務ツールです。以下の設問に答えることで、理解度を確認するとともに、教育や改善活動にも役立ててください。アウトプットを通じて、習得を定着させましょう。

Q1:WBSと作業指示書は役割が異なるものである。

  • Yes
  • No

Q2:次のうち、作業指示書に必ず含めるべき要素として不適切なものはどれか?

  • A. 作業目的と対象設備
  • B. 作業場所と日時
  • C. 完了後の社内稟議資料の雛形
  • D. 緊急連絡先や安全対策

Q3:WBSを活用した工事準備において、より精度の高い準備ができるのはどれか?

  • A. 作業項目ごとの所要時間のみを一覧にする
  • B. 作業項目ごとの必要資機材と準備期限を整理する
  • C. 作業項目を一人の担当者がすべて記載する

Q4:以下の指示書の記載例のうち、表現として最も適切なのはどれか?

  • A. 「配線作業などを実施」
  • B. 「必要に応じて装置を確認する」
  • C. 「○○信号装置盤においてケーブル端末処理(圧着+絶縁確認)を行う」

Q5:次の作業手順を実施順に並べ替えてください。

  • A. 作業指示書の作成
  • B. 作業内容に基づいたWBSの作成
  • C. 作業当日のKYM(危険予知ミーティング)での共有

Q6:あなたがこれまでに担当した工事または準備業務において、WBSや作業指示書が活用されていたかを振り返り、良かった点・改善できる点を100〜200字で記述してください。

  • (自由記述)

Q7:後輩や委託先技術者にWBSの作り方を指導する場合、まず何を理解させることが重要だと思いますか?あなたの言葉でまとめてください。

  • (自由記述)

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