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要件における「曖昧表現」を排除するコツ

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はじめに──なぜ「曖昧表現」が問題になるのか

公共交通業界における技術導入や業務改善の現場では、「曖昧な表現」が引き起こす問題が少なくありません。「なるべく早く対応」「適切な処理を実施」「使いやすいインターフェース」といった一見便利な言い回しは、関係者の間で解釈が分かれやすく、後工程での混乱や手戻り、部門間の責任押し付け合いを招きます。

特に、鉄道やバスといった公共交通の分野では、「安全・正確・継続運用」が最優先されるため、少しの誤解や仕様ズレがサービス停止や事故リスクに直結します。それにも関わらず、業務の中には「前例踏襲で進める」「言わなくても分かる」「どうせ現場で調整する」といった属人的な対応が根強く残っており、要件定義の段階で曖昧な表現がそのまま放置されるケースが多く見られます。

また、現場・設計・ベンダー・本社管理部門といった複数プレイヤーが関与するプロジェクトでは、「言った/言わない」「聞いたつもりだった」など、認識齟齬によるトラブルも起きやすくなります。特に、電気・通信などの技術部門では「仕様書に書いてあると思った」「ベンダーが当然理解している前提だった」といった誤解が、数百万円規模の手戻りや、工事中断を招く事例も少なくありません。

このような背景から、技術者が早い段階で「曖昧表現を排除する視点」を持ち、要件を正確に定義し、関係者間で共通認識を持てるようにすることは、プロジェクト全体の成功に直結します。とりわけ、若手技術者や異動してきたばかりの職員にとっては、「何が曖昧かすら分からない」状態からのスタートとなるため、教育・育成の仕組みとしてもこのスキルを明文化しておくことが重要です。

本記事では、曖昧表現の具体例を取り上げながら、それらをどのように明確化し、誰と・いつ・どのように共有すべきかを、技術者の立場から実務ベースで整理していきます。日常の報告書から、仕様書・稟議書・契約書まで、さまざまな文書の中で「明確に伝える力」を高めるための実践的な手法を、順を追って学んでいきましょう。

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