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関係部署調整における要件すり合わせの基本

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はじめに:なぜ要件すり合わせが重要か

公共交通業界における技術導入や業務改善のプロセスでは、多くの部署や立場の人が関わります。現場の技術者は実際に設備を扱い、運用や保守の制約を熟知しています。一方で、管理部門や企画部門はコスト・納期・制度対応などを重視し、全体最適の視点から意思決定を行います。この両者の間に断絶が生じると、要件が曖昧なまま進められ、後の設計や施工段階で大きな手戻りやトラブルが発生することになります。

特に、STEP3(要件定義・仕様検討)は、導入プロセス全体の成否を左右する基盤となる段階です。ここで「誰が何を必要としているのか」を具体的に洗い出し、優先順位をつけ、文書化することが不可欠です。例えば、ホームドアの導入であれば、現場は「点検時の安全性確保」や「作業空間の確保」を求めますが、管理部門は「投資額の抑制」や「工期短縮」を重視します。これらをすり合わせずに一方的に決めてしまうと、実際に運用できない仕様になったり、追加コストが発生したりします。

初学者や若手社員にとって、要件すり合わせは「難しい会議の場」や「上層部との交渉」という印象があるかもしれません。しかし実際には、現場で気づいた小さな不便や改善点を丁寧に拾い上げ、それを他部署に伝えることから始まります。重要なのは、自分の知見を単に主張するのではなく、「他部署がどう受け止めるか」を意識して翻訳する姿勢です。この姿勢を持つことで、若手であっても要件定義に貢献でき、チーム全体の信頼を得ることにつながります。

この記事では、要件すり合わせの基本的な流れと考え方を整理し、現場と管理部門をつなぐ役割を担う技術者がどのように動けばよいかを具体的に解説していきます。単なる理論ではなく、実際の現場で直面する課題や行動に焦点をあて、初学者からベテランまで参考になる実務知見を提供します。

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