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品質保証(QA)を組み込んだ施工管理プロセス

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1. 施工段階における品質保証の意義と背景

鉄道やバスなどの公共交通インフラでは、「施工品質」が安全性と長期信頼性を支える基盤です。どれほど優れた設計や製品であっても、施工時の品質が確保されなければ、本来の性能は発揮されません。特に信号通信設備や電力設備など、施工誤差が安全動作に直結する分野では、品質保証(QA)の仕組みをプロセスに組み込むことが必須です。

従来は、竣工検査や社内試験で「問題がなければ良い」とする品質管理(QC)中心の考え方が主流でした。しかし、施工段階で不具合を発見してから是正する方式では、手戻りやコスト増加を招くことが少なくありません。品質保証(QA)はこの反省から生まれた仕組みであり、「後から検査する」のではなく「最初から不良を作らない仕組みを設計する」ことを目的としています。

たとえば、信号機器のケーブル配線やリレー盤の結線ミスは、現場検査で見逃されると運行障害の原因となります。これを防ぐために、図面段階からの二重チェック体制や、部材受入検査の標準化、現場作業記録のフォーマット統一などがQAの具体的施策となります。つまり、QAとは「品質を作り込む文化」を組織全体で共有することなのです。

公共交通事業者においては、施工業者・設計会社・管理部門・運転保安部門など、複数の立場が関与します。したがって、施工管理にQAを組み込むには、単に現場ルールを整えるだけでなく、「品質を守る責任の所在」を明確化し、各部門が一貫して品質目標を共有するマネジメントが求められます。本記事では、こうした視点からQAの導入と運用を段階的に整理し、現場の施工管理プロセスに落とし込む方法を体系的に解説します。

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