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地域MaaSプラットフォーム 7選 | 導入チェックリスト、導入プロセス解説付

株式会社MR.Nexus

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製品特性

               
安全対策
               
自動化
               
環境への配慮
               
保守性向上
               
信頼性向上
               
施工性向上

地域交通を取り巻く環境は大きく変化しており、高齢化や過疎化、人材不足といった社会課題に対応する新たな交通手段として「地域MaaSプラットフォーム」が注目されています。特にオンデマンド交通管理に対応したシステムは、従来の定時定路線型運行では対応が難しい地域において、柔軟で持続可能な移動サービスを実現する手段として各地で導入が進んでいます。

本記事では、国内外で地域MaaSプラットフォームを提供している主要メーカーを一覧形式で紹介します。各社の製品特徴や導入実績、技術の強みを簡潔に整理することで、交通事業者や自治体の担当者が導入検討時に比較しやすく、実務レベルで判断できる情報提供を目的としています。カタログのように分かりやすい構成を意識し、現場目線で必要な要素を中心に掲載しています。

 

地域MaaSプラットフォームサプライヤ一覧表

サプライヤ名 国・地域 主な製品 ターゲット市場 技術の強み 導入事例 リンク
MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ) 東京都港区 MONETプラットフォーム(オンデマンド配車、運行管理) 自治体、交通事業者、地域住民サービス マルチモーダル対応、アプリと運行管理の一体化、API連携 豊田市、安平町 ほか MONET
ネクスト・モビリティ株式会社(Next Mobility Co., Ltd.) 福岡県福岡市 のるーと(AIオンデマンドバス) 地方都市、ニュータウン、高齢化地域 AIルーティング、リアルタイム最適化、モバイルアプリ連携 福岡市アイランドシティ、各地の社会実験 Next Mobility
株式会社NTTドコモ(NTT DOCOMO, INC.) 東京都千代田区 AI運行バス® 自治体、公共交通事業者、観光地 AIによる乗合最適化、スマホ・タブレット対応、分析ダッシュボード 秋田県能代市、北海道厚沢部町 ほか NTTドコモ
富士通株式会社(Fujitsu Limited) 東京都港区 オンデマンド交通クラウドサービス 自治体、交通事業者、観光地 クラウド型運行管理、既存MaaS連携、B2Bシステム構築力 岩手県遠野市、長野県伊那市 ほか 富士通
株式会社NearMe(ニアミー) 東京都中央区 スマートシャトル™(相乗り最適化シャトル) 空港アクセス、観光地、自治体移動支援 AI相乗り最適化、ルート計算、高いUI/UX設計 成田空港連携シャトル、熊本県山鹿市 ほか NearMe
コガソフトウェア株式会社(Koga Software Co., Ltd.) 東京都千代田区 孝行デマンド交通システム 中山間地域、シニア向け移動支援 電話予約対応、地域の介護・医療との連携 熊本県天草市、長崎県南島原市 ほか Koga
トヨタファイナンシャルサービス株式会社 愛知県豊田市 my route(統合型MaaSアプリ) 都市交通、観光地、広域連携 公共交通・タクシー・レンタカー・決済統合 福岡市、横浜市、熊本市 ほか myroute

 

まとめ

地域の公共交通を支える仕組みとして注目される「地域MaaSプラットフォーム」。本記事では、オンデマンド交通管理に対応した国内の主要7社(MONET Technologies、ネクスト・モビリティ、NTTドコモ、富士通、NearMe、コガソフトウェア、トヨタ)の製品と特徴を比較・整理しました。

各社のアプローチには明確な違いがあり、導入対象となる地域や運用形態によって適したシステムは異なります。MONET Technologiesは、トヨタとソフトバンクの合弁企業として全国的な展開力とAPI連携の柔軟性があり、広域でのマルチモーダル連携を想定した自治体に向いています。NTTドコモは、AIによる乗合最適化とダッシュボード分析に強みがあり、都市部や観光地における精緻な運行管理が可能です。

一方で、ネクスト・モビリティは、限られた運行資源をAIで最適化するリアルタイム型オンデマンド交通に注力しており、中小規模の自治体や交通空白地域の課題解決に適しています。富士通は、安定運用とMaaS連携の観点から、既存交通事業者や自治体システムと整合を図りたいケースに適しており、B2B支援に強みがあります。

また、NearMeは民間連携や空港送迎などに強みを持ち、利用者向けの洗練されたUI/UXとルート最適化機能が評価されています。コガソフトウェアは、電話予約対応や介護・福祉連携に配慮したシステム構成で、高齢者や交通弱者支援を目的とする地域に適しています。さらに、トヨタ(my route)は、公共交通・タクシー・シェアモビリティ・観光情報などを一つのアプリに統合し、都市型・観光型MaaSとしての汎用性とスケーラビリティに優れています。

導入検討時は、以下のような観点から比較検討することが重要です。

  • 導入目的:空白地域のカバー、観光振興、住民の移動支援など。
  • 対象ユーザー:高齢者中心か、観光客・市民混在か。
  • 運用体制:自治体主導、民間連携、地域運営組織型など。
  • システム構成:クラウドベースか、端末・アプリ依存度はどの程度か。
  • 拡張性:MaaSアプリ連携、決済機能追加、広告収益モデルの可能性。

地域MaaSは単なるICT導入に留まらず、地域の移動インフラの設計と運営そのものに関わる取り組みです。技術面だけでなく、運用体制・地域ニーズ・住民リテラシーまで含めた多面的な視点での選定が求められます。本記事が、導入判断の一助として役立てば幸いです。

 

MaaSプラットフォーム導入チェックリスト

本チェックリストは、地域MaaSプラットフォームを導入する際に検討すべき項目を、事業者・自治体の実務担当者向けに整理したものです。各社製品の比較や、導入判断の材料としてご活用ください。

① 構造条件・地域特性

  • 交通空白地帯(山間部・過疎地)への対応実績があるか
  • 既存交通(バス・タクシー等)との棲み分け方針が明確か
  • 対象エリアの道路状況(狭隘路、信号数、冬季通行制限など)に適合しているか
  • 地域住民のITリテラシーに応じた利用設計(電話予約対応など)があるか

② 運用・保守体制

  • 自治体または交通事業者が主導して運用できる体制か
  • 運行管理者向けのダッシュボード・報告機能があるか
  • 初期導入後の継続的サポートやトラブル対応体制が整備されているか
  • 運行会社・配車オペレーターなどとの役割分担が明確か

③ 利用者向けUI/UX・アクセシビリティ

  • 高齢者でも利用できる予約手段(電話、簡易アプリ等)が用意されているか
  • スマートフォン利用者にとって直感的で使いやすいUI設計か
  • 多言語対応やアクセシビリティ(読み上げ対応、色覚配慮など)があるか
  • 通知機能(乗車時間の事前通知や運行遅延の案内)が備わっているか

④ システム連携・拡張性

  • 既存のMaaSアプリや交通IC決済システムと連携可能か
  • APIによる外部システム連携(CRM、GIS、地域ポイント等)が可能か
  • 交通データの蓄積・分析が可能な仕組みがあるか
  • 将来的な広告連携、観光案内、貨客混載等の展開に耐えられる構造か

⑤ 導入・運用コスト

  • 初期導入費用・運用費用が明確に提示されているか
  • 自治体の補助金・実証事業などに対応した実績があるか
  • 車両・端末・アプリなど、必要な機器構成とコストが整理されているか
  • 将来のスケールアップ時の費用増加が試算できる構成になっているか

⑥ ベンダー評価・信頼性

  • 同規模の自治体または地域での導入実績があるか
  • ドライバーや利用者からの評価が公開されているか
  • 契約や個人情報管理に関する対応(プライバシーポリシー等)が整っているか
  • 障害発生時の対応履歴・MTBF/MTTRなどが開示されているか

導入を成功させるためには、単にシステムの機能だけでなく、地域との親和性や現場運用体制まで含めて総合的に検討する必要があります。本チェックリストを活用し、自地域に最適なサービスを選定してください。

 

導入プロセス解説

地域MaaSプラットフォームの導入は、単なるICTツールの選定にとどまらず、「地域の移動課題をどう解決し、持続可能な仕組みとして定着させるか」という公共施策そのものです。以下では、自治体主導でオンデマンド型交通を導入する際の基本ステップを、実務担当者向けに詳しく解説します。

STEP 1:地域課題の明確化と関係者ヒアリング

まず、導入の目的を明確にし、地域特性に即した課題を洗い出します。住民や関係者からのヒアリングを通じて、制度設計や運行仕様の基礎データを収集します。

  • 交通空白地・高齢化・通院難などの具体的な地域課題を整理
  • 交通事業者、住民団体、福祉・医療機関などの関係者と意見交換
  • 利用想定者のITリテラシーや既存交通との関係性も把握

STEP 2:導入目的とスキームの設定

課題整理を踏まえて、導入の目的や目指すべき効果、運営スキームを設定します。自治体直営とするか、地域交通協議会や事業者への委託とするかなど、体制を明確にします。

  • 通院支援、買い物支援、観光促進など明確な目的を設定
  • 運営主体(自治体/事業者/NPOなど)と運行管理体制を明文化
  • 庁内(交通/福祉/ICT等)の横断体制も整備

STEP 3:候補システムの比較検討

市場にある複数の地域MaaS製品を、Mobility Nexusのチェックリストを用いて実務視点で比較します。地域特性との整合性、UI/UX、費用、保守性などが評価項目です。

  • 対象地域に適合する機能構成・UI設計か
  • 高齢者対応(電話予約など)があるか
  • 初期費用・保守費用の明確さ、支援体制の充実度
  • ベンダー側の導入実績・同規模地域での評価

STEP 4:実証実験・スモールスタート

いきなり本格運用せず、限られた地域・時間帯で小さく始めることで、現場の課題や改善点を可視化できます。住民や運転士の声を拾い上げ、制度の修正に活かします。

  • エリア・時間・対象者を絞って試験運用
  • 運行実績(乗車率、キャンセル、利用者属性)をKPIとして取得
  • 運行管理者・予約オペレーターの負荷感も確認

STEP 5:本格導入に向けた制度設計と運用準備

本格運用に向け、必要な予算措置、条例改正、広報活動、現場体制の整備を実施します。特に住民説明会や操作講習会など、受け入れ側の土台づくりが不可欠です。

  • 運行体制(人員、運転士、オペレーター等)の確保と教育
  • 予算・補助金・契約スキームの整備
  • 住民向けの説明会や利用マニュアルの配布

STEP 6:本格運用とモニタリング

本格運用後も「使われているか」「課題はないか」を継続的に把握し、必要に応じて改善策を講じます。データに基づいた運行管理が、持続可能性の鍵となります。

  • 予約数、実乗車数、平均待ち時間、満足度などのデータ管理
  • 月次モニタリングと改善会議の開催
  • FAQ更新、操作支援の継続

STEP 7:機能拡張と周辺展開

一定の成果が得られた後は、より広域な展開や他サービスとの統合、持続可能な運営モデルの検討へと進みます。地域MaaSは単独運用から統合交通政策へと進化可能です。

  • 隣接地域への展開、定時路線やスクールバスとの連携
  • 観光MaaSや健康ポイント制度との統合
  • 広告連携、買い物配送、貨客混載などの収益化モデルの導入

地域MaaSの成功には、「技術があるか」ではなく「運用し続けられるか」「住民に受け入れられるか」が重要です。Mobility Nexusでは、こうした導入プロセスの標準化やモデルケースの横展開を支援しています。各地域の特性に応じた柔軟なプロセス設計を心がけましょう。

会社名株式会社MR.Nexus

住所〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1丁目11番12号 日本橋水野ビル7階

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