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自動運転バスメーカー7選 | 導入チェックリスト、導入プロセス解説付

株式会社MR.Nexus

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製品特性

               
安全対策
               
自動化
               
環境への配慮
               
保守性向上
               
信頼性向上
               
施工性向上

近年、少子高齢化や人手不足の影響を受け、地方を中心に公共交通の維持が課題となる中、自動運転バスは持続可能な移動手段として注目を集めています。とくに国内外のメーカーが開発を進めるレベル4相当の自動運転車両は、バス事業者にとって「ドライバー不足の補完」「運行コストの最適化」「路線維持の選択肢」として現実的な導入検討や実証実験が進んでいます。

本記事では、日本国内および海外で自動運転バスの開発・製造を行う主要メーカーについて、展示会カタログ形式で簡潔に紹介します。製品の特長や採用実績、想定される用途などを表形式で整理し、導入検討時における比較や社内説明資料としてそのまま活用できる構成としました。

製品スペックや制御方式の違いだけでなく、「どのような事業者に向いているか」という視点からも整理しています。自社の課題と照らし合わせながら、最適な導入候補を検討する一助となれば幸いです。

 

自動運転バスのサプライヤ一覧表

サプライヤ名 地域 主な製品 ターゲット市場 技術の強み 導入事例 リンク
ティアフォー(Tier IV) 東京都品川区 自動運転OS「Autoware」搭載車両 地方公共団体、交通事業者、研究機関 オープンソースによる柔軟な車両制御、地図連携 茨城県境町、名古屋市など Tier Ⅳ
BOLDLY株式会社(BOLDLY Inc.) 東京都港区 Dispatcher(遠隔監視システム)、Navya ARMA導入支援 MaaS事業者、自治体、企業キャンパス 遠隔運行監視と複数台運行管理に特化 羽田空港、柏の葉スマートシティ、伊予鉄道など BOLDLY
マクニカ(Macnica, Inc.) 神奈川県横浜市 Navya社製「ARMA」の国内代理・サポート 自治体、研究機関、空港内交通 海外製自動運転車両のローカライズと導入支援 千葉市、横浜市、筑波大学構内 Macnica
先進モビリティ株式会社(Advanced Mobility, Inc.) 東京都文京区 自動運転バス・トラック 地域公共交通、貨物輸送、BRT 実証運行と連携した車両カスタマイズ力 JR東日本(BRT)、国交省実証など as-mobi
株式会社ZMP(ZMP Inc.) 東京都文京区 自動運転EVバス「RoboBus」 都市部の路線バス、施設送迎 独自開発センサーとAI制御の統合パッケージ 千葉市、横浜市、羽田空港近郊 ZMP
WILLER株式会社(WILLER Inc.) 大阪府大阪市 自動運転シャトル運行・連携企画 観光地、MaaS連携、民間施設 観光・地域交通との統合運用モデルに強み 美馬市(徳島)、由布院など WILLER
株式会社Turing(Turing Inc.) 東京都渋谷区 Turing Bus(自動運転EVバス) 都市・郊外の路線バス、地域輸送 ソフトウェア起点の車両設計と高い拡張性 福岡市実証、首都圏周辺自治体と連携中 Turing

 

まとめ

本記事では、国内における自動運転バスの主要メーカー7社について、製品特性や技術優位性、導入事例をもとに比較可能な形式で整理しました。それぞれの企業は、自動運転技術の設計思想や提供範囲に違いがあり、導入する事業者のニーズに応じて適切な選定が求められます。

たとえば、ティアフォーはオープンソースの自動運転OS「Autoware」を軸とした柔軟な車両制御が特長で、地域課題に応じてカスタマイズした運用を構築したい地方公共団体や開発パートナー型の交通事業者に最適です。

BOLDLYは遠隔監視や複数台運行のオペレーションに強みがあり、企業団地内の定常運行や、広域管理を要する観光地・キャンパスでのシャトル運用を検討する事業者におすすめです。

マクニカは海外製の自動運転シャトル(Navya)を日本市場に展開しており、「まずは輸入車両を用いた短期的な実証実験を行いたい自治体や研究機関」向けの導入支援に適しています。

先進モビリティは、JR東日本とのBRT実証など大型案件での実績を持ち、地域輸送の再構築やBRT導入を検討する公共交通事業者に向いています。柔軟な車両設計力と実装対応が特長です。

ZMPは自社開発のEVバス「RoboBus」シリーズに加え、独自センサーや制御技術を内包した統合パッケージを提供。都市部の循環バスや病院・商業施設のシャトル運用など、自社単体でのスムーズな導入を求める事業者におすすめです。

WILLERは観光や地域交通との融合運用を得意とし、地域振興やMaaSとの連携を前提とした自動運転導入を考える自治体・DMOに適した事業者です。

Turingはソフトウェア起点で設計されたEVバス「Turing Bus」を展開しており、UI/UXやAPI連携といったデジタル施策も含めて地域交通を再構築したいスマートシティ系プロジェクトに非常に相性が良い企業です。

これらの違いを踏まえ、導入検討時には次のような観点でパートナー企業を選定することが重要です。

  • 自社の導入目的(ドライバー不足対策/観光交通/定常運行の自動化)を明確にする
  • 導入スケジュール(短期実証/中期導入)に応じた支援体制があるかを確認する
  • 地域や施設の特性(市街地/郊外/専用道/混在交通)に適した車両構造かを見極める
  • ソフトウェア主体かハードウェア一体型か、自社の体制に合う設計思想を選ぶ

自動運転バスは、単なる移動手段ではなく「地域課題を解決するモビリティ」としての意味を持ちます。今回の比較が、自社の状況に合った導入パートナーを見つけるための一助となれば幸いです。

関連記事:自動運転バスの実証実験を一覧でご紹介!自動運転レベルや技術の解説も!

 

自動運転バス導入前チェックリスト

以下は、自動運転バスを導入する際に事業者側で確認すべき項目を整理したチェックリストです。構造・車両整合性・保守運用・コスト・ベンダー体制など多面的に確認し、実導入に向けたリスクや条件を見極めるための指標としてご活用ください。

構造条件

  • 運行予定ルートにおいて専用道または混在交通の区分が明確になっているか
  • 交差点・踏切・急坂など、自動運転にとって高リスクな構造物が整理されているか
  • 道路幅員・歩行者動線・段差など、車両設計との整合が取れているか

車両との整合性

  • 車両サイズ(全長・全幅・最小回転半径)が運行環境に適しているか
  • 乗降口高さや車いす対応など、バリアフリー要件が満たされているか
  • 気候条件(積雪地帯・猛暑地域など)に対して車両仕様が対応しているか

運用・保守体制

  • 遠隔監視や有人バックアップの体制構築が可能か(BOLDLY等の対応範囲含む)
  • 定期点検・故障対応・代替車両の確保など、保守業務のスキームがあるか
  • 地元整備会社やパートナー企業との連携体制が想定されているか

コスト・調達条件

  • 導入コスト(車両価格・ソフトウェア使用料・保守費用)が明示されているか
  • 導入助成金・実証補助金など、公的資金の活用余地があるか
  • 納期や調達ロット(複数台導入時)に関する見通しが立っているか

ベンダー評価・導入実績

  • 同規模・同条件の導入事例があるか(地域・道路条件・運用体制)
  • 他自治体での稼働実績、ユーザー評価、メディア報道の有無
  • 不具合・事故時の対応体制や情報公開姿勢が確認できるか

サイバーセキュリティ・法令対応

  • ソフトウェアのセキュリティ更新が継続的に提供されるか
  • 自動運転レベル・型式認定・ナンバー取得等に関して必要要件を満たしているか
  • 保険制度・責任所在が導入事業者として明確に理解できているか

システム連携・拡張性

  • MaaSアプリや予約管理システムとの連携が可能か(WILLERやTuringに該当)
  • 道路インフラ(信号連携・車車間通信)との統合運用が見込めるか
  • 拠点間シャトルや路線拡大など、将来的なスケーラビリティが担保されているか

本チェックリストは、単なる製品比較ではなく「自社の導入前提条件に対する適合性評価」に重きを置いた構成です。選定の初期段階では、すべての項目を満たす必要はありませんが、導入の進行フェーズに応じて段階的に確認していくことが望まれます。

 

導入プロセスの全体像

自動運転バスの導入には、技術検証から制度対応、地域調整、完全運用まで段階的なアプローチが必要です。以下では、初期検討から完全運用・スケール展開に至るまでの標準的な6ステップを示します。特に中長期での運行持続性を重視する自治体・交通事業者にとって、計画立案と段階的導入の参考となる構成です。

ステップ1:目的と対象ルートの明確化

  • 導入目的(ドライバー不足、赤字路線維持、観光振興など)を整理
  • 対象地域・ルートを選定(既存バス路線・観光ルート・新規設定)
  • 地域課題と交通ニーズに基づき、導入意義を明文化

ステップ2:ベンダー選定と実証計画の策定

  • 記事内のメーカー比較表等を参考に、技術・サポート体制・実績を確認
  • 短期実証 or 中期導入を見据え、導入スコープと予算を策定
  • 地域住民・議会・関係部局との合意形成を進める

ステップ3:制度調整と環境整備

  • 道路管理者・警察と走行条件(実証・限定免許等)を調整
  • 信号機、道路標識、優先ルートなど必要なインフラを整備
  • 国交省への特例申請(保安基準緩和、型式指定)を準備

ステップ4:実証運行・検証

  • レベル2〜3での限定エリア運行開始(有人同乗/遠隔監視)
  • 走行ログ、故障データ、利用実績を定量評価
  • 住民満足度、経済効果、導入時の課題点をレポート化

ステップ5:本格導入・運用移行

  • 車両台数増加、路線拡張、定期ダイヤ化を含む運用モデルへ移行
  • 保守契約、遠隔監視体制、ドライバ不要オペレーションを構築
  • 自治体直営、交通事業者連携、MaaS統合等の事業形態を決定

ステップ6:完全運用・事業スケール

  • 複数路線での運用、時刻表・交通系IC・予約システムとの統合
  • 法定外目的(福祉輸送・学校送迎・医療送迎など)への応用拡大
  • 地域内の他事業者・施設との連携による交通ネットワークの再構築
  • レベル4自動運転前提の交通マネジメント・政策連携の構築

完全運用を実現するには、技術だけでなく「制度対応」「地域理解」「継続的な財源確保」「人的・運用体制の内製化」などが必要です。Mobility Nexusでは、初期選定から制度対応、スケール展開までを見据えたチェックリストや導入プロセスを整備し、事業者・自治体が自走できる体制構築を支援しています。

会社名株式会社MR.Nexus

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