- 鉄道
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AI駅案内ロボットメーカー3選
株式会社MR.Nexus
製品特性
- 安全対策
- ○
- 自動化
- ◎
- 環境への配慮
- -
- 保守性向上
- -
- 信頼性向上
- -
- 施工性向上
- -
近年、鉄道業界では人手不足やサービス品質向上を背景に、駅構内での案内業務を自動化する「AI駅案内ロボット」の導入が進んでいます。AI駅案内ロボットは、定型的な案内業務から多言語対応、バリアフリー案内まで、幅広い用途で活用されており、特に都市部や観光地、地方駅において注目されています。
一方で、ロボットの導入にあたっては、機能性能・設置条件・保守体制・コストなど、事業者ごとに重視するポイントが異なります。そこで本記事では、国内外の主要メーカーをピックアップし、それぞれの特徴・強み・推奨用途を簡潔にまとめました。
また、各メーカーの情報を一覧表として整理し、事業者が自社のニーズに応じて比較検討しやすい形式で掲載しています。導入検討の一助として、ぜひご活用ください。
AI駅案内ロボットのメーカー一覧表
メーカー名) | 国・地域 | 主な製品 | ターゲット市場 | 技術の強み | 採用事例 | リンク |
---|---|---|---|---|---|---|
日立製作所(Hitachi, Ltd.) | 日本・東京都千代田区 | EMIEW3 | 駅構内での案内業務 | 自律移動、音声対話、多言語対応 | 高輪ゲートウェイ駅での実証実験 | 日立製作所 |
オムロン株式会社(OMRON Corporation) | 日本・京都府京都市下京区 | 音声対話型AI搭載 駅案内ロボット | 駅構内での案内業務 | 音声対話、多言語対応、自動言語識別 | 京王電鉄 新宿駅での試験運用 | オムロン |
ugo株式会社(ugo Inc.) | 日本・東京都千代田区 | ugo Pro | 駅構内での案内・警備業務 | 自律移動、遠隔操作、多言語対応 | Osaka Metro 夢洲駅での社会実験 | ugo |
AI駅案内ロボットの日本国内メーカー3選
日立製作所(Hitachi, Ltd.)
会社概要:
日立製作所は、総合電機メーカーとして多岐にわたる事業を展開し、AIやロボティクス技術を活用した社会イノベーションに注力しています。
取り組み:
同社が開発したヒューマノイドロボット「EMIEW3」は、音声対話機能と自律移動機能を備え、商業施設や公共空間での案内業務を支援しています。2016年以降、羽田空港や東京都庁舎などで実証実験を行い、3か国語での店舗案内サービスも実施しました。[参考]
オムロン株式会社(OMRON Corporation)
会社概要:
オムロン株式会社は、制御機器や電子部品、社会システムなどを手掛ける企業で、駅務機器や自動改札機などの分野でも実績があります。
取り組み:
オムロンは、音声対話型AIを搭載した「駅案内ロボット」を開発し、2019年に京王電鉄の下北沢駅と新宿駅で試験運用を実施しました。このロボットは、日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語に対応し、話しかけられた言語を自動で識別して応答する機能を備えています。[参考]
ugo株式会社(ugo Inc.)
会社概要:
ugo株式会社は、サービスロボットの開発・製造を行う企業で、警備や案内業務を支援するロボットソリューションを提供しています。
取り組み:
同社の多言語対応の対話・案内ロボット「ugo」は、2025年1月から3月にかけてOsaka Metro御堂筋線梅田駅で、4月からは夢洲駅で社会実験を実施しています。生成AI「tsuzumi」などを活用し、日本語・英語・中国語・韓国語の4言語での対話が可能です。[参考]
まとめ
近年、鉄道業界では人手不足への対応や、観光客をはじめとする多様な利用者へのサービス向上の手段として、「AI駅案内ロボット」の導入が注目されています。これらのロボットは、定型的な道案内、多言語対応、バリアフリー支援など、駅構内における人的負担の軽減と利用者満足度の向上を両立する技術として期待されています。
本記事では、日本国内で駅案内ロボットの開発または実証を行っている日立製作所、オムロン株式会社、ugo株式会社の3社について、その企業概要、製品特徴、採用事例などを紹介しました。以下に、それぞれの企業の特徴を簡潔に整理します。
- 日立製作所(Hitachi, Ltd.):自律移動と音声対話を組み合わせた「EMIEW3」を開発。羽田空港や高輪ゲートウェイ駅などで実証を重ね、対面型接客ロボットとしての完成度が高い。案内業務の正確性と安心感を重視する大規模駅向け。
- オムロン株式会社(OMRON Corporation):駅務機器の豊富な実績を背景に、音声対話型AIロボットを試験導入。京王電鉄の駅構内で多言語対応の実証を行っており、既存駅務設備との親和性の高さが強み。中〜大規模都市駅に適する。
- ugo株式会社(ugo Inc.):自律移動+遠隔操作による柔軟な運用が可能な「ugo Pro」を展開。Osaka Metroでの案内・警備業務を想定した社会実験を実施。夜間対応やスタッフ不足を補いたい駅での導入に向く。
導入を検討する事業者にとっては、以下の選定基準が有効です。
- 設置環境との適合性: 駅構内のスペース、電源、ネットワークインフラの状況を踏まえて設計・配置が容易な機種を選ぶ。
- 対応言語と案内精度: 観光地・国際空港に隣接する駅では、多言語での自然な対話能力が重要。
- 保守・サポート体制: 運用中のトラブル対応や定期点検の体制を確認し、遠隔支援の有無も評価する。
- コスト・実証実績: 初期費用・運用費用に加えて、他駅での実績があるかどうかを重視。
AI駅案内ロボットは、単なる案内ツールにとどまらず、駅のブランディング・サービス向上・スタッフの業務最適化にも寄与する存在です。今後の技術進化とともに、現場に即した柔軟な導入が求められる中で、本記事が導入検討の一助となれば幸いです。
AI駅案内ロボット導入チェックリスト
本チェックリストは、AI駅案内ロボットの導入を検討する鉄道事業者向けに、企画初期段階で整理すべき観点を体系的にまとめたものです。
目的・設置環境・運用体制・予算・調達方針まで、多面的に検討することで、最適な製品・メーカー選定につなげることができます。
① 想定業務範囲の明確化
- ロボットに担わせたい業務はどこまでか?(案内 / 警備 / 列車監視 / 清掃など)
- 案内業務の内容は?(乗換案内 / 駅構内案内 / 周辺観光情報 / バリアフリー支援 など)
- 警備業務としては巡回 / 不審者検知 / 侵入アラート等、どの機能が必要か?
- 列車監視(ホーム上の転落検知や停止位置監視)への応用を視野に入れているか?
- 時間帯による業務切替(例:昼は案内、夜は警備)など、運用方針は明確か?
- 既存スタッフとの業務分担(協働か代替か)を整理しているか?
② 設置環境・構造条件
- 設置場所は屋内 / 屋外、地上 / 地下 / 高架、どの構造か?
- 改札内外・ホーム上・コンコースなど、利用者動線に適した設置場所はあるか?
- ロボットの移動や回転に十分なスペースがあるか?
- 気温・湿度・雨風など環境条件への耐性が求められるか?
- 電源・通信(Wi-Fi / 5G)などインフラ環境は整っているか?
③ 利用者ニーズ・案内要件
- 対象とする利用者層は?(観光客 / 外国人 / 高齢者 / 視覚障がい者など)
- 案内に必要な言語は?(日本語 / 英語 / 中国語 / 韓国語など)
- 音声 / ディスプレイ / ジェスチャーなど、どの案内方式を重視するか?
- ピーク時間帯に複数人応対が必要か?
- 利用者属性によってUI(対話速度・文字サイズなど)を調整できる必要があるか?
④ 運用・保守体制
- 起動・停止・移動操作は自動 / 半自動 / 手動のどれを想定しているか?
- 遠隔監視・遠隔操作・緊急停止などの機能は必要か?
- 定期点検・清掃・充電など、日常保守は誰が行うか?
- 不具合発生時の初動対応はどの部門が担当するか?
- 交換部品やバッテリーの寿命・在庫体制は確認済みか?
⑤ 情報システム・セキュリティ
- ロボットのデータはクラウド連携かローカル処理か?
- 個人情報(顔・声など)を取り扱う場合の管理方針は明確か?
- 社内ネットワークと分離して運用できる設計か?
- 通信の暗号化、認証機能、ログ管理など基本的なセキュリティ要件は確認済みか?
⑥ 有事対応・安全対策
- 災害(地震・停電)時の動作設計(安全停止・情報発信)はあるか?
- ロボットが障害物や人と接触した場合のリスク対策は講じられているか?
- 駅係員が緊急停止・回収できる体制か?
- 利用者とのトラブル時の対処フローは想定しているか?
⑦ コストと財務計画
- 1台あたりの導入コスト、対象駅数、運用期間は?
- 補助金・実証支援など外部制度の適用は検討済みか?
- 通信費、保守費など、年額コストを見積もっているか?
- 撤去・更新を含めたライフサイクルコストを試算しているか?
⑧ ベンダー選定・調達戦略
- 国内ベンダー / 海外ベンダー、どちらを軸に選定するか?
- 複数社から技術提案書・費用見積を取得しているか?
- 現場見学・デモ確認・導入駅の実績視察を実施したか?
- 契約後のサポート体制(教育、施工、導入後調整)は明確か?
このチェックリストを活用することで、企画部門・現場部門・情報システム部門・財務部門など、関係者間での認識をそろえながら、着実に導入準備を進めることができます。事前の検討不足によるコスト増や運用トラブルを防ぐためにも、早い段階からの整理をおすすめします。
製品導入の基本プロセス
以下は、公共交通機関における新製品・設備導入の一般的な流れです。AI駅案内ロボットなどの新技術を導入する際に、企画部門や技術部門が社内調整や稟議作成を行う際の参考としてご活用ください。
① 情報収集
製品概要、機能、導入実績、導入コスト感を把握。
→ 比較表・チェックリスト・導入事例記事を活用し、現場ニーズに即した情報を整理。
② 社内検討
担当部署内で、既存設備との互換性や技術的妥当性を検討。
→ 安全性・維持管理性・操作性・更新時の工事容易性も評価。
③ 試算と投資効果評価
初期導入費用、保守・通信費、想定運用年数に基づくライフサイクルコストを算出。
→ 費用対効果(省人化・利用者満足度向上・安全性強化など)を可視化。
④ 稟議書作成・承認申請
技術背景、導入の意義、仕様概要、比較検討結果、費用見積を記載し稟議起案。
→ 関連部門(設備・電気・IT・経理等)と調整し、承認プロセスを通過。
⑤ 導入スケジュール調整
工事時期、供給可能時期、夜間作業の可否、関係業者の手配などを調整。
→ 複数駅にまたがる場合は段階的導入計画を策定。
⑥ メーカー・施工会社と契約・導入
仕様確認・設計レビュー・安全管理計画を実施後、発注および導入へ。
→ 必要に応じて試験導入からスタート。
⑦ 評価・報告
使用開始後、運用実績・課題・利用者の反応を整理。
→ 他駅展開の可否も含めて上長・経営層へ報告。
稟議書テンプレート(記入例付き)
※以下の稟議書テンプレートおよび製品名・数値等の記載は、AI駅案内ロボット導入を想定した架空の事例として作成したものであり、実際の製品比較や導入検討を行ったものではありません。
項目 | 記入内容例 |
---|---|
件名 | AI駅案内ロボット導入について |
起案者 | ○○部 ○○課 氏名(担当) |
起案日 | 2025年04月03日 |
実施希望日 | 2025年07月01日(完了予定:2025年09月30日) |
背景・目的 | 〇〇駅のインバウンド対応強化およびサービス向上を目的とし、AI駅案内ロボットを導入。 |
製品名・型番 | ugo Pro(https://ugo.plus) |
概要 | 改札外コンコース設置。自律移動+遠隔操作。4か国語対応。AI音声対話・画面案内機能付き。 |
費用見積 | 機器費用:400万円、工事費:80万円、保守費(年):60万円(税抜) |
投資効果・導入理由 | ・訪日観光客の問い合わせ対応を自動化 ・ピーク時の窓口混雑緩和 ・スタッフ業務の効率化(案内業務の一部代替) |
比較検討製品 | EMIEW3(日立製作所)と比較し、初期費用および遠隔機能の柔軟性で優位性あり |
今後のスケジュール | 4月:稟議決裁 → 5月:発注 → 6月:設置工事 → 7月:運用開始 |
添付資料 | 見積書、仕様書、メーカー資料、チェックリスト、比較表 |
承認欄 | 担当者 → 課長 → 部長 → 設備管理部門 → 財務担当 |
会社名株式会社MR.Nexus
住所〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1丁目11番12号 日本橋水野ビル7階
キャッチコピー公共交通に変革を、技術革新で次世代の安全と効率を
事業内容Mobility Nexusでは、鉄道や航空をはじめとする公共交通業界における製品情報・メーカー情報の集約を進め、事業者とサプライヤをつなぐプラットフォームを構築しています。新技術や導入事例、比較情報を整理し、事業者が最適な選択をできる環境を提供するとともに、サプライヤが自社の強みを的確に訴求できる仕組みを整えていきます。
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