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四国八十八ヶ所は順番通りに回るべき?順打ち・逆打ち・区切り打ちの決め方を解説

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四国八十八ヶ所を回ろうと決めたとき、多くの人が最初につまずくのが「どこから、どの順番で回ればいいのか」です。1番から88番まで番号がついている以上、順番通りに回らないと失礼にあたるのではないか。そう不安になる方は少なくありません。本記事では、その疑問に結論から答えたうえで、順打ち・逆打ち・区切り打ち・一国参りという4つの型の選び方と、実際の巡拝順の組み方までを整理します。

四国八十八ヶ所は順番通りに回らないとダメ?

四国八十八ヶ所は順番通りに回らないとダメ?

先に結論をお伝えします。番号順に回らなければならないという決まりはありません。

番号順は「決まり」ではありません

四国八十八ヶ所には、巡る順番についての教義上の規定がありません。第1番から始めなければならないという定めも、途中で番号が前後してはいけないという禁止もありません。四国八十八ヶ所霊場会も、形式よりも巡ろうとする心を大切にする姿勢を示しています。

実際、自宅から最も近い札所から始める方、旅行のついでに立ち寄った札所から始める方、複数の県に散らばった予定に合わせて飛び飛びに回る方など、進め方は人それぞれです。

それでも多くの人が1番から回る理由

決まりがないにもかかわらず、多くの人が第1番霊山寺から順に回ります。理由は信仰上のものではなく、実務的な事情です。

  • 道しるべや案内表示が、番号順に進むことを前提に整備されている
  • 第1番に巡拝用品の売店があり、装束を一式そろえられる
  • 徳島から始まる序盤は札所の間隔が短く、体を慣らしやすい
  • ガイドブックや宿の情報が、すべて番号順で書かれている

つまり「1番から回るのが正しい」のではなく、「1番から回ると迷いにくくて楽」ということです。この違いを押さえておくと、旅程を組むときの判断がぐっと楽になります。

途中で前後しても問題ない

旅程の都合で番号が前後することは、実際にはよく起こります。山中の札所が通行止めだった、時間が足りず1ヶ所飛ばした、翌日の宿の位置の関係で先に次の札所へ回った。いずれも珍しいことではありません。

飛ばした札所は、後日あらためて参拝すれば問題ありません。88ヶ所すべてを巡り終えれば結願です。順番の乱れが結願を無効にすることはありません。

四国八十八ヶ所を巡る順番の4つの型|順打ち・逆打ち・区切り打ち・一国参り

四国八十八ヶ所を巡る順番の4つの型|順打ち・逆打ち・区切り打ち・一国参り

順番に関わる言葉を整理します。「打つ」は札所に納札を納める、つまり参拝することを指します。

内容 向いている人 難易度
順打ち 第1番から第88番へ番号順に回る 初めての人、迷いたくない人
逆打ち 第88番から第1番へ逆にたどる 順打ち経験者、閏年に回りたい人
通し打ち 88ヶ所を一度の旅で回りきる まとまった休みが取れる人
区切り打ち 何回かに分けて少しずつ回る 社会人、体力に不安がある人
一国参り 県単位で区切って回る 旅の単位をはっきりさせたい人

この4つは排他的ではありません。「順打ちで区切り打ち」「逆打ちで通し打ち」のように組み合わせて使います。最も一般的なのは順打ち × 区切り打ちです。

決めるべきなのは順番そのものではなく、この「型」のほうです。

なぜ「打つ」と言うのか

順打ち・逆打ちの「打つ」という言葉に、違和感を覚える方もいるかもしれません。これは納札(おさめふだ)を納める行為に由来しています。

かつては、参拝した証として木や紙の札を本堂の柱や壁に打ちつけていました。そこから「札を打つ」、転じて「札所を打つ」という言い方が生まれ、現在の順打ち・逆打ちという表現に残っています。

現在は建物を傷めるため打ちつけることはせず、本堂と大師堂に置かれた納札箱に納めます。納札には氏名・住所・願い事を書き入れ、お接待を受けたときのお礼としても渡します。1ヶ所につき本堂と大師堂で2枚使うため、88ヶ所を回るには最低176枚が必要です。多めに用意しておくと安心です。

四国八十八ヶ所の基本は順打ち|第1番霊山寺から始めるメリット

四国八十八ヶ所の基本は順打ち|第1番霊山寺から始めるメリット

初めての方には、やはり順打ちをおすすめします。理由を具体的に見ていきます。

道しるべ・案内表示が順打ち前提

遍路道には各所に道しるべが立っていますが、これらは順打ちの進行方向を向いて設置されています。逆向きに歩くと、道しるべの背面ばかりを見ることになり、分岐で迷いやすくなります。

案内の看板、地図、標識のいずれも同じ前提です。順打ちを選ぶだけで、道に関するストレスが大きく減ります。

徳島スタートは体を慣らしやすい

第1番霊山寺から第11番藤井寺までは平野部が中心で、札所の間隔も比較的短く設定されています。歩きでも車でも、序盤で四国の遍路道の感覚をつかめます。

そのうえで、第12番焼山寺という最初の大きな山越えが控えています。「遍路転がし」と呼ばれる難所ですが、11ヶ所を経て体が慣れた段階で迎えられるのは、順打ちの大きな利点です。

逆打ちの場合、この焼山寺が終盤に来ます。疲労が蓄積した状態で最大の難所に挑むことになるため、体力面の設計が難しくなります。

装束が第1番で一式そろう

第1番霊山寺には巡拝用品を扱う売店があり、白衣・輪袈裟・菅笠・金剛杖・納経帳などをその場でそろえられます。着け方や参拝の作法も教えてもらえるため、準備を出発地でせずに済みます。

逆打ちで第88番大窪寺から始める場合、この「入口での準備」ができません。事前に自分で買いそろえるか、道中で調達することになります。

四国八十八ヶ所の逆打ちとは|第88番から回る意味と閏年の言い伝え

逆打ちは、第88番大窪寺から第1番霊山寺へ向かって逆にたどる方法です。「逆打ちは順打ちの3倍の功徳がある」という言い伝えが広く知られています。

衛門三郎伝説と「功徳3倍」の由来

この言い伝えの背景にあるのが、伊予国の長者・衛門三郎(えもんさぶろう)の伝説です。

衛門三郎は自らの行いを悔い、弘法大師を追って四国を20回以上めぐりました。しかし、どうしても会うことができません。そこで「逆に回れば、進んでくる大師と出会えるのではないか」と考えて逆打ちをしたところ、ついに大師と巡り会えたと伝えられています。

この出来事が閏年だったとされることから、閏年の逆打ちがとりわけ尊ばれるようになりました。直近の閏年は2028年です。閏年には逆打ちを選ぶ方が増え、ツアーの設定も増える傾向にあります。

「死国」「呪い」の噂の正体

逆打ちを調べていると、「死者が蘇る」「呪われる」といった不穏な情報を目にすることがあります。これは伝承ではありません。

出典は、坂東眞砂子の小説『死国』(1993年)です。1999年に映画化もされました。作中で、四国八十八ヶ所を死者の歳の数だけ逆に巡ると死者が蘇るという禁断の儀式として「逆打ち」が描かれており、この創作上の設定が独り歩きしたものです。

実際の逆打ちは、衛門三郎伝説にもとづく功徳の話であり、霊場会や各札所がそうした危険を説いていることはありません。閏年に逆打ちのツアーが組まれていること自体が、その証拠と言えます。安心して検討してください。

逆打ちが実際に難しい理由

噂は気にする必要がありませんが、逆打ちには現実的な難しさがあります。

  • 道しるべが逆向きで、分岐を見落としやすい
  • ガイドブック・地図・宿の情報がすべて順打ち前提で書かれている
  • 焼山寺など序盤の難所が終盤に来て、体力設計が難しい
  • 歩き遍路では、宿の位置と1日の行程を自分で組み直す必要がある

初めてのお遍路で逆打ちを選ぶのは、あまりおすすめできません。順打ちで一度巡ってから、二巡目に逆打ちへ進む方が多いのはこのためです。

四国八十八ヶ所を区切って回る|区切り打ち・一国参りの順番の決め方

40日以上の休みを確保できる方はごく限られます。実際には多くの人が区切り打ちを選びます。ここでは「どこで区切るか」を考えます。

県単位で区切る「一国参り」

県単位で区切る「一国参り」

最も自然なのが、県境で区切る一国参りです。区切りが明確で、旅の単位としてもわかりやすくなります。

札所番号 呼び名 区切りの目安
徳島県 第1番〜第23番 発心の道場 3〜5日
高知県 第24番〜第39番 修行の道場 4〜7日
愛媛県 第40番〜第65番 菩提の道場 4〜6日
香川県 第66番〜第88番 涅槃の道場 3〜4日

日数は車で回る場合の目安です。歩きの場合はそれぞれ2〜3倍かかります。

高知県は札所の間隔が最も長く、移動距離が伸びます。ここだけ日数を多めに見ておくと計画が崩れません。

連休ごとに数日ずつ進める

もう一つの方法が、連休のたびに2〜3日ずつ進めるやり方です。年に2〜3回のペースなら、数年かけて結願する形になります。

この場合、次回の再開地点へのアクセスが区切る位置を決める鍵になります。市街地の札所や、駅・空港から向かいやすい札所で区切っておくと、次回の移動が楽になります。逆に山中の札所で区切ると、再開のたびに山を登り直すことになります。

たとえば、春と秋の年2回・各4日間で進める場合、次のようなペースになります。車で回る想定です。

時期 区間 区切る札所
1回目 1年目 春 第1番〜第23番(徳島県) 第23番薬王寺
2回目 1年目 秋 第24番〜第39番(高知県) 第39番延光寺
3回目 2年目 春 第40番〜第53番(愛媛県南部〜松山) 第53番圓明寺
4回目 2年目 秋 第54番〜第65番(今治〜四国中央) 第65番三角寺
5回目 3年目 春 第66番〜第88番(香川県) 第88番大窪寺で結願

この組み方なら、1回あたり4日程度の休みで済み、約2年半で結願できます。区切りをすべて県境か松山市街に置いているため、次回の再開時も空港や主要駅からアクセスしやすくなっています。

区切る位置のおすすめ

区切りやすいのは、次の考え方に合う札所です。

  • 県境にあたる第23番薬王寺、第39番延光寺、第65番三角寺(一国参りの区切り)
  • 松山市・高松市・徳島市など、空港や主要駅に近い市街地の札所
  • 宿泊施設が複数ある地域の札所

反対に、山中で公共交通の便が悪い札所(第12番焼山寺、第60番横峰寺、第66番雲辺寺など)で区切るのは避けたほうが無難です。

四国八十八ヶ所の巡拝順の組み方|歩き・車・バスツアー別モデル

同じ順打ちでも、移動手段によって1日の組み方は変わります。

車の場合

車では1日8〜10ヶ所を回れます。効率を上げる鍵は、札所が密集しているエリアをまとめることです。

  • 徳島市周辺(第13番〜第17番)
  • 松山市周辺(第46番〜第53番)
  • 善通寺市周辺(第72番〜第76番)

これらのエリアは半日で複数ヶ所を回れます。逆に、山中の札所や高知県の間隔が長い区間は移動だけで半日かかることもあるため、密集エリアと組み合わせて1日の総数を調整します。

納経所の受付は原則として午前8時から午後5時までです。山中の札所は早い時間に、市街地の札所は夕方に回すと1日を効率よく使えます。

具体例として、徳島県の23ヶ所を車で3日かけて回る場合の組み方を挙げます。

日程 区間 ヶ所数 組み方のポイント
1日目 第1番霊山寺〜第11番藤井寺 11ヶ所 平野部が中心で移動が短い。第1番で装束をそろえてから出発
2日目 第12番焼山寺〜第17番井戸寺 6ヶ所 焼山寺の山道に時間がかかるため朝一番に。午後は徳島市内の密集エリア
3日目 第18番恩山寺〜第23番薬王寺 6ヶ所 第20番鶴林寺・第21番太龍寺の山越えが連続。余裕を持った配分に

1日目に11ヶ所と数を稼ぎ、山越えのある2日目・3日目を6ヶ所ずつに抑えているのがポイントです。ヶ所数を毎日そろえようとすると、山の日に破綻します。

歩きの場合

歩きでは1日2〜3ヶ所、20〜30kmが目安です。この場合、順番を決めるのは札所ではなく宿の位置になります。

その日に泊まれる宿がある場所まで歩き、そこまでにいくつの札所を通過するかで1日が決まります。山間部では宿が数軒しかない区間があるため、宿を先に押さえてから行程を逆算するのが確実です。

バスツアーの場合

バスツアーでは、順番は旅行会社が組みます。88ヶ所を10〜12回程度に分割し、効率的な巡拝順が設計されているため、自分で考える必要はありません。

順番を自分で決めたくない方、運転や宿の手配をしたくない方には最も負担の少ない選択肢です。

順番より大事な3つのこと

順番より大事な3つのこと

順番を気にするより、押さえておくべきことが3つあります。

1. 参拝を終えてから納経所へ行く

納経は参拝を終えた証としていただくものです。先に納経所へ行くのは順序が逆になります。本堂と大師堂の両方で参拝を済ませてから向かってください。

2. 到着時に鐘をつく

鐘は札所に着いたときにつきます。帰りにつくのは「出鐘(でがね)」と呼ばれ、縁起が悪いとされています。撞くことを禁じている札所もあるので、表示を確認してください。

3. 無理な日程を組まない

順番や日数にこだわるあまり無理な行程を組むと、事故や体調不良につながります。とくに歩き遍路では命に関わります。予備日を確保し、体調に応じて切り上げる判断をしてください。

まとめ|四国八十八ヶ所の順番は自由。決めるべきは「型」

  • 番号順に回る決まりはありません。どこから始めても、途中で前後しても、88ヶ所すべてを巡り終えれば結願です
  • 初めてなら順打ち。道しるべ・装束・体力設計のすべてが順打ち前提で整っているため、迷いません
  • 逆打ちの「呪い」は創作です。出典は1993年の小説『死国』。ただし道しるべが逆向きになる現実的な難しさはあるため、二巡目以降が向いています
  • 社会人は区切り打ちか一国参り。県境か、駅・空港に近い市街地の札所で区切ると再開が楽です
  • 決めるのは順番ではなく「型」。順打ち × 区切り打ちが最も現実的な組み合わせです

まずは徳島県の第1番から第10番あたりまでを2〜3日で回ってみてください。自分に合う型は、実際に歩いてみると自然に見えてきます。

四国八十八ヶ所の全体像(費用・日数・作法・全札所一覧)は、[リンク先:四国八十八ヶ所を完全ガイド]で詳しく解説しています。

本記事の情報は2026年7月時点のものです。納経所の受付時間や各札所の状況は、四国八十八ヶ所霊場会 公式サイトでご確認ください。

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